花が咲く頃

琴葉

第1話

どうやら私は超能力者のようだ。



今日は、梅雨の時期なのに珍しく晴れていた。

てっきり雨だと思って持ってきた傘を閉じて、私は歩き始めた。


「あら、凛ちゃんおはよう。」

「谷本さん、おはようございます。今日も綺麗に咲いてますねぇ」


谷本さんは、近所に住むおばあちゃんだ。

花壇にはチューリップやフリージアが可愛い顔でこちらを向いていた。


「そうでしょ、毎日水やったかいがあったわ」

「これからも守り続けないとですね」

「そうやなぁ。元気でいられるかなぁ」


花を見つめる谷本さんの顔は少し寂しそうに見えた。



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5限の古典の授業は寝るのがお決まりである。

周りの視線は気にせず机に突っ伏して眠りにつく。もう先生は気にも留めない。


「凛…凛!もう授業終わったって!」

「あぇ、もう?」

「ほんとに聞いてないじゃん、テスト大丈夫なの?」

「赤点はさすがにないと思う」

「受験生たるもの、せめて平均を目指しなさい!」


そう言いながらメロンパンにほおばる咲季。


「それは何ご飯なわけ?」

「ん〜昼の後半戦」

「そうやって食べてるから太るんだよ」

「うるさいなぁいつも分けてあげてるじゃん」


残りのメロンパンを半分にわって差し出してくる。善意なのかダイエットに協力させられてるのかは分からない。


「あ、今日めっちゃ綺麗な花見てさ」

「凛が花見てるとか珍し。感性あるんだ」

「バカにしてんの?」

「で、その花がどしたの?」

「なんか妙に綺麗だったんだよねぇ」

「何それ、ただの花じゃないの?」

「うーん、言い表すのは難しいんだけど…」


チャイムが鳴ったので咲季は自分の席に戻って行った。あのメロンパンはバレずに食べることになりそうだな。

私はずっと、あの花について考えていた。

オーラがあるような、整っているような…


誰かを守っているような、そんな花だった。


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花が気になったので、帰りに谷本さんの家の前を通ることにした。

すると、知らないおばあさんが谷本さんの花壇に水をやっていた。


「あの…水やりされてるんですか?」

「あら、谷本さんのお知り合い?」

「まぁ、はい。顔見知りくらいなんですけど。」


すると、奥の方から谷本さんが歩いてくるのが見えた。


「あっ。こんにちは!」


声をかけたつもりだったが、谷本さんは動かない。そこにいると水がかかってしまう。


「あの、水やりそこだと危ないです。」

「え?どうして?」

「だってそこ、」

「あぁ、このカタツムリのこと?優しいのね」


いや、カタツムリには全然興味ないけど。


「谷本さんって」

「あら、知らなかったのね」


おばあさんは小さく息を吐いた。


「谷本さん、先週なくならはったのよ」

「…え?」


そんなはずがない。

今、私の目の前で、谷本さんは優しく微笑んでいるのに。


「なくなったって、死んだってことですか?」

「そうだけど…」

「えぇ…あ、すみません」


小さく例をして私は家に向かって走った。

きっと見間違いだ。朝花を見たのも、さっきのもきっと私の変な記憶なんだ。

そう思って走り続けた。

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花が咲く頃 琴葉 @kt_207104

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