2024年12月、バンコクへ行く

 バンコク、まず市章にインドラ神が描かれているという、彼のファン(?)にとっては実にワクワクできる場所。家族旅行でそのバンコクに行けることになった。ところで私はSNSでも只管帝釈天orインドラ神に関するツイート&サーチを行っている。

 その結果、タイ在住の日本人漫画家さんが発行した電子書籍の存在を知り、そこからバンコクには有名な百貨店街ラチャプラソン(インドラ神を含め9柱の神の像があり、実際お参りの人でごった返していた)のほか、複数のインドラ神像があり捧げもの(主に花輪)ができるという情報が得られた。

 やるっきゃない……インドラ神に捧げものを……

 なお、ラチャプラソン9神への祈願については旅行ガイドブックにも記載されている。インドラ神像があるのは「アマリンプラザ」、通りに面した大きなデパートなのでGoogle Mapで探せば辿り着くのは難しくないはず。花輪売り場も神像の近くにあることが多いようだ。

 バンコク旅行そのものが凄く楽しかったのだが今回のテーマ以外のことを書くとあっという間に文字数は足りなくなるため割愛する。まず空港の通路やロビーにもタイの風景画と並んでラーマキエン(タイ式のラーマーヤナ。インド版とは異なる展開やタイ版オリジナル登場人物がいる。)やその他のインド神話の一場面を描いた絵が飾られており、早速インドラ神の姿があり、実に嬉しい。

 有難いことに、見つけ方が凄く簡単である。まずタイ式のインドラ神/帝釈天は皮膚の色を緑色で表すことが多い。(ラーマキエンのラーマ王子も同じ皮膚の色をしている。)そして白象(頭が三つあることが多い)アイラーヴァタに乗っている場合が多い。なお、タイ式の呼称はインドラ神が「プラ・イン」、帝釈天が「ターオ・サッカ」だそうだ。

 そこからしばらく、訪れた観光地で目を皿にしてインドラ神/帝釈天要素を探し、見つけては幸せな気分になった。博物館では「王権はインドラ神の玉座」という中々に強烈なフレーズに出会った(これも元々はインドから来た思想でマヌ法典にも記載されている。)。寺院の壁画を見て「あっ、釈迦と一緒にいる!」と嬉しくなったり。一緒に行った家族は呆れていたかもしれない。


 さて、本題のインドラ神/帝釈天への捧げものである。

 私は仏像も見たかったのでショッピングセンターではなくバンコク市内のお寺に行った。こちらもそこそこの広さのお寺で、同じく花輪売りの人がいたのでその場で購入した。花輪はオレンジ色のマリーゴールドでできていて、結構しっかりと編んであり掴むとそこそこに固くずっしりとしていた。

 ここで避けて通れない素朴な疑問が生じる。……だけど、ここにいるのって、「インドラ神」だろうか、「帝釈天」だろうか。外観上の特徴的な見分け方は多分ない。まあ、仏教寺院にあるから帝釈天の像と捉えても差し支えないと思うことにしよう。

 ともあれ、私は像の前に立った。この像は日本の帝釈天像と同じく穏やかな表情で左手に槍(タイ式のヴァジュラを長柄にしたものかもしれない)を手にしている。

 花輪を捧げて手を合わせた。帝釈天……私は、なんて言えば良いんだろう。ただ寺にいてくれるだけで嬉しい、彼が釈迦と出会って対話を繰り返し預流果を得て、涅槃を見届け「諸行無常」から始まる偈を詠み、その後の仏教徒を守護した物語があった証としてそこにいてくれればそれでいい。

 なので、自分に関する頼み事はさっぱり浮かばない。あと、欲からは離れよと釈迦は言っていたし。とりあえずお仕事お疲れ様です。感無量なので言葉になったのは本当にそれだけだった。

 その後、寺院の仏像にも同じく手を合わせ花輪を捧げた。ここの仏像は黄金に輝いていた。寺院内の壁画は仏教説話から題材を取っており、諸行無常を表現していた。


 旅行中の帝釈天の思い出に関しては、これが最も緊張したし充実した瞬間だった。

 そしてある時ふと、この時の「ただ、物語があった証としてそこにいてくれればそれでいい。」という感情が、「推す」ってことかと思い至った。その前にまさにこのカクヨムで「推し」をテーマにした小説を拝読したりもしたが、依然として掴みどころがあるような無いような「推す」という行為が腑に落ちた瞬間である。そんなわけで今(2025年8月)、迷いなくと言える。私の推しは帝釈天です。


(続く?この先は残り文字数と相談します)

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