第1話 金髪の少女
朝早く起きるというのは非常に憂鬱だ。
体はだるいし、瞼は重い。思ったように動けないし、寒い季節は布団から出たく無くなる。
だが、今日は僕──『リスタ・ロイズカール』において、大事な日になる……予定だ。
今日は、16歳の誕生日。この世界は、16歳になると特別な式が行われる。僕は、ちょうどその式が行われる日に生まれたから、16になった瞬間からその式を受けれるって訳だ…
ちなみに、女子は1歳早く式を受けれるらしい。ずるいと思う。正直。
そんなことを考えながら、僕は朝食を食べ、着替える。そして、寝癖を治して、親に声をかける。
「行ってきます。」
親にそう声をかけ、家を後にする。今の時間は、6時半。式は8時からだ。早く出過ぎだと思うかもしれないが、僕の家は会場からとても遠い。だから、これくらい早く出ないと間に合わないんだ。
日課のランニングと並行して、会場の教会へと走る。
ずっと走って、森を抜け、山を超え、やっと草原に出た。ふと周りを見渡すと、魔物に襲われてる人がいた。
「誰か、助けてくれー!」
見た目60歳くらいの商人が襲われている。
獣型の魔物…だろうか。あの人が危ない。
僕は全力で走る。目の前の人を救うために。
「…ここだ!」
懐から剣を抜き出し、魔物に向かって振り抜く。
魔物の身体は綺麗に半分に切り裂かれ、そして塵となる。
どうやら、間に合ったようだ。
「…え?」
「大丈夫でしたか?」
「大丈夫も何も、傷一つないよ…?」
「それならよかった!」
良かった、無事だったみたい。でも、商人はどこか様子がおかしい。一体どうしたんだろう。
僕のことを、信じられないという目で見てきてる気がする。
……まぁあくまで気がする程度だが。
「と、ところで、キミ。キミのクラスはなんなんだい?」
クラス。いわゆる職業のことで、男子は16、女子は15になった時に授かれる人生の分かれ道のようなものだ。
「えーっと…僕はまだ16になったばかりなので、なんのクラスでもないですね」
「なんと!?それなのにあの魔物を一撃で?!」
「……?何かおかしいことでも?」
「おかしいも何もないだろう!君はあれがどれくらいの強さの魔物なのか知らないのかい?!」
「別に…あれくらいの魔物には襲われてきましたし」
「襲われてきたぁ?!」
ひたすらに驚かれる。そんなにあの魔物って驚かれるものなのか?…僕の故郷ではあんなのが三体も同時に襲ってくるなんてザラだったぞ。
まぁ、
ふと時計を見ると、7時50分だ。
……7時50分?!あと10分しかないじゃないか!!
「すっ、すみません!僕、急いでいるので!それじゃまたいつか!」
「ま、まだお礼もなんもできてないのに……」
僕はもう1回走り出す。教会までは全力で走れば何とか間に合うだろうか。とにかく急がなきゃ。
♦︎♦︎♦︎
「ま、間に合った……」
現在時刻は7時58分。
ギリギリだ。あと少しでもペースを落としていたら、きっと間に合わなかっただろう。
その瞬間、背後から声をかけられる。
「あの……汗すごいですけど、大丈夫ですか?」
僕は後ろに振り向き、返事をする。
すると、女の子がそこに立っていた。
ブロンドヘアというか、金髪と言うべきか。
容姿は非常に整っていて、誰からどう見ても美人と言えるほどだった。
多分、僕と同い年くらいだろう。
「あ、うん、大丈夫……」
「良かったらこれ、使ってください!」
そう言ってて渡されたのは黄色のタオルだった。なんて優しい人なんだろう。
僕はお言葉に甘えて、受け取ることにした。
「あ、ありがとう……洗って返すよ」
「いえ、全然!気にしないでください!」
「あ、そういえば、自己紹介がまだでしたね!」
言われて思い出す。そういえば、名乗ってもいないし挨拶もしていない。
「私の名前は、『ルリィ・トーア』です!ルリィって呼んでくださいね!」
名乗った少女、ルリィは、綺麗な紺碧色の瞳をこちらに向け、笑顔を見せた。
「ん、ルリィね。覚えとくよ」
「僕は『リスタ・ロイズカール』。16歳で、『贈与の式』を受けに来たんだ」
「あ、私も一緒です!私はまだ15歳なんですけど、来月には16歳になるんですよ〜!」
「珍しいね?15になった時に行かないなんて」
「親がまだ一緒にいたいって言ってきたので!」
「なるほど」
そう会話をしていた時に、この協会の修道士が出てきた。
「静粛に」
周辺が一瞬で静まりかえる。ざっと見た感じ、50人くらいは居そうだ。
「これから、『贈与の式』を始める。」
……ついに、始まった。
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第1話手直しさせていただきました。
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