第3話 パンツ


私の名前は増本花。

突然だが私には好きな人が居る。

そしてこの世から抹消したい人が居る。

上と下。

ジェットコースター。

そんな感じの人生である。


お姉ちゃんを始末したい。

だけどそれは犯罪なので...なんというか抹消するんじゃなくて人生もろとも地に落として最悪に導いてやろうと思う。

そう考えながら私は歩く。

すると大好きな人が私を見た。


「お兄ちゃん」

「...な、なんだ。いきなり呼び方が...」

「私、お兄ちゃんが好きです」

「だろうな。見れば分かるが。...何が言いたい」

「お兄ちゃんの周りに寄って来る女性にときめかない様にしたいんです」

「私だけを見てほしいってか...」

「そうですね」


そして私はお兄ちゃんをじっと見る。

そりゃそうだ。

お兄ちゃんの精子も全ては私のものだ。

将来子供を産むのも私だ。


「...気持ちは分からんでもない。だけどそれは無理だろ。どう考えても」

「無理じゃないです。私は出来るって思います」

「お前...」

「私はやりますよ。だってお兄ちゃんが好きですもん」


初めての処女をあげるのもお兄ちゃんだ。

私がどれだけこの日を待っていたか。

あの日。

お姉ちゃんが私を裏切ったあの日。

憎悪しか湧かない。


「...とりあえずやりすぎるなよ」

「私はいつだって平常運転です」

「いやだからさ。それが怖いっての」


ジェットコースターの様な感情。

だけど私は常にエス、イドなどは守っている。

フロイトもびっくりするぐらいには。

そう考えながら私はニコニコとお兄ちゃんを見ながら学校に登校する。

そしてお兄ちゃんと別れた。



花の様子がなんかおかしい。

絶対におかしい。

そう考えながら俺は「...転生のせい?」と呟く。

それから歩いていると「おはよー」と声がした。

背後を見るとそこに同級生の原田メグ(はらだめぐ)が居た。


「やー。今日もだるいねぇ」

「そうだな」

「今日も部活がー...ってどしたの?」

「...いや。何でもない」


原田メグは俺の友人の女子だ。

俺によく構ってくる女子。

俺を好き...という訳ではないと思いたいが。

そんな褐色肌の短髪の少女は「?」となっている。


「行こうぜ」

「そうだねぇ」


それから俺はそのまま教室に向かう。

すると男の友人の遠間一馬(とおまかずま)がやって来た。

「はよーさん」と言いながら苦笑している。

四角い眼鏡をしているそばかすが特徴の少年。


「ああ。はよーさん」

「今日もまたイチャイチャしたのか?彼女と」

「...一馬。それは...つまり花の事だよな?」

「当たり前だろ。それ以外誰が居るねん」


やはり記憶が書き換えられている。

そう思いながら俺は「...」となってから「そうだな」と返事をする。

こいつらが知っているのは花じゃない。

前世では...華菜だった。

つまり見事に書き換えられている。


「...そうか」

「おかしいぞお前?」

「いや。なにも。ちょっと寝ぼけているだけだ」

「なんだそりゃ」


それから俺は「なんでもいいだろ」と言いながら椅子に鞄を置く。

そして2人を見る。

2人は「...お前らしくないな。寝ぼけているなんざ」と苦笑する。

メグは鞄を置きに行った。

俺はその姿を見ながらにへらとしている一馬に「なんだよ」と言う。

暢気な感じだ。


「いや。愛しい人を目にしすぎて気が狂ったかと思ってな」

「ちげーよ。このドアホ」

「じゃあどうしたんだよ」

「うるせぇ」


察される訳にはいくまい。

そう考えながら俺は教科書を置いていく。

一馬は「へいへい」と言いながら同じ様に鞄から教科書を出していく。

それから教科書を机に仕舞う。


「重いよなぁ。教科書って」

「そりゃそうだろ。...実際全部持って帰れとか厳しいよな」

「だなぁ」


それから一馬は教科書を全部置いた。

そして「飲み物買ってくるわ」と言ってから手をひらひらさせて去って行った。

俺はそんな姿を見送ってからメグを見る。

メグは女子達と話していた。

俺はその中で伸びをしている...と。

スマホに通知が入った。

そこにあったのは裏側から撮影したと思うスカートの内部...オイ!!?


「!?」


パンツがあった。

というか赤い紐パンだった。

なんだこれ。

そう思って赤面していると花から(ノーパンで登校しましたけど流石にマズイかと思って♡)と文章が。

コイツ!!?


(えへ。お兄ちゃんのえっち)

(ざけんな)


それから俺は心臓を落ち着かせる。

すると「なにしてるの?」とメグの声が。

俺はドキッとしながらスマホを仕舞う。

メグは「?」を浮かべていた。

あぶねぇ!く、クソ野郎め。

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