第2話 destruction

俺は静かに考えながら花を見た。 

花は何かその。

生気の無い感じでニコニコ俺を見ている。

その姿はまるで新婚の様だが正直そんな気分にならない。

原因としては...まあ分かっている。


「花」

「なんでしょうか」

「...お前のその訳の分からない力...というか過去に戻すのはどう目覚めたんだ」

「私の力は...そうですね。よく分からないんです。先程言った状況で祈りを込めていたらタイムリープしました」

「...そうなんだな」

「はい」


それから花も朝ご飯を食べ始める。

俺はその姿を見つつ「...花。とりあえず今のこの状況を俺は結構驚愕して感じているんだ。だからとりあえず落ち着くまで待ってくれるか」と話す。

すると花は「はい。いつまでも待ちますよ。この世界ではお姉ちゃんと私の立ち位置は丸ごと違いますしね」と言う。

俺は「!」となりながら花を見る。


「私は呪いでもなんでも契約します。それ以外の系統でも構いません。ただ私は先輩を愛しているだけです」

「...」

「私はきっと悪魔と契約したと思います。それでも構いません。私は堕天使だろうが先輩を大切にするだけです」

「...分かった」


俺は冷や汗を流しながら花を見る。

花の目からハイライトが消えている。

深刻な感じで俺を見ている。

俺はその姿に冷や汗が出てしまう。

少し怖いんだが...。


「ま、まあいいや。とりあえずお前の気持ちは分かったから。ありがとうな」

「はい。いつまでも待ちますから」

「...」


正直。

こんな事になるとはな。

そう考えながら俺は花を見る。

確かに嫁には復讐するべきだとは思う。

だが現状、花は今は人を殺すレベルな感じがする。

俺は「それだけは」と呟きながら「花」と話す。

花はゆっくり顔を上げた。


「はい」

「お前が俺を好きなのはよく分かった。だが...何故そんなに俺が好きなんだ?」

「私は先輩をお姉ちゃんが付き合う前より遥か昔から好きでした。でも私にはチャンスが無かった。アピールする隙が無かった。そうこうしているうちに先輩はお姉ちゃんと付き合い始めた。その時になって絶望を感じ...とにかく私は貴方の優しい姿に惹かれました」

「...そうだったんだな」

「はい。...私は...先輩が好きで仕方がなかった。幸せを祈っていた。...それがこの結果ですね。私は絶対に許さないと」


そして花の目からまた生気が消える。

俺はその姿を見て時計を見る。

時間が迫っている。

もう直ぐ学校が始まる。

行かないと怪しまれるかもな。


「花。とりあえず学校に行こう」

「行きたくはないですけどね」

「気持ちは分かる。だが俺達が来なかったらそれこそ怪しまれる」

「そうですね。...分かりました」


それから花は正気を取り戻した様にご飯を食べる。

俺はその姿に(とりあえず上手く話を逸らせたな)と思いながらご飯を食べた。

そして俺達は学校に通う為に表に出て歩き始めた時。


「先輩」

「...なんだ?」

「明日は...お暇ですか」

「明日...は何日だっけ」

「土曜日ですね」

「じゃあ暇かな。多分。それが?」

「デートしましょう」


まさかのいきなりの提案に俺は驚く。

それから「あ、ああ」と目を丸くしながら返事をする。

なんというか不思議な感覚だった。

コイツとデートか。


「なあ。花」

「はいはい。なんでしょう」

「華菜の事...どうなるんだ。この世界では」

「まあ彼女は死ぬまで破滅した人生を歩むでしょうね。ただ私はその破滅+全てを破滅させる様に動くだけです」

「復讐ってずっと言ってたよな。...具体的にはどうするんだ」

「お姉ちゃんが不幸になるように行動します。それに微かにですけどお姉ちゃんは今も男の香りがします」

「...まさか」

「そのまさかでしょうね。証拠は掴んでいませんが。多分他人の棒でもしゃぶっているんじゃないですかね?分かりませんが」


その言葉に愕然としながら花を見る。

俺は花に聞いた。

「それはつまり...他の男を捕まえていると?」と。

すると「彼女の性格は0にした訳じゃないです。なので多分...前世と性格はそのままなので浮気しているでしょうね。幾つもの男と一緒に今も」と答えた。


「...なんでそれを見抜けなかったんだ俺は...」

「お姉ちゃんは人を騙すような知恵には長けていますから」

「...最低だな」

「あんなのは姉ではないです。どうでも良い感じです」

「...成程。俺を奪ったから?」

「そうですね。立場が入れ替わっていますし」

「奴は...その。知っているのか。前世を」

「知りません。...恐らくですけど」


「あくまで多分ですが」と花は答えた。

それから眉を顰めながら「あくまで全て推測ですが。あんな姉は地に落とすべきですね。...汚らわしい」と答えた。

俺はその姿を見つつ溜息を盛大に吐いた。

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