第2話 揺れるスカートの下で

 明香里との抱擁から数日後。零の心は、あの日の温もりを忘れられずにいた。彼女の寂しさを埋められたという実感は、零の内に秘められていた自己肯定感を満たし、同時に、言いようのない高揚感を与えていた。しかし、それは決して、健全な感情だけではなかった。明香里の身体の柔らかさや、Tシャツ越しに伝わってきた熱を思い出すたびに、零の隠された性的好奇心は、静かに、そして確実に覚醒し始めていた。


 放課後。零は、再び明香里に呼び出され、あの倉庫の裏にいた。周囲の喧騒から隔絶された、二人だけの秘密の場所。夕暮れの光が、コンクリートの壁を淡く照らしていた。


「零くん、ごめんね、いきなり呼び出しちゃって」


 明香里は、照れたように顔を伏せた。彼女の制服のスカートは、風に揺れていた。

「ううん、大丈夫だよ」

「あのね……零くんといると、私、すごく落ち着くんだ。だから、もっと零くんと一緒にいたくて……」


 明香里はそう言うと、零に一歩近づき、そっと手を握った。零は、明香里の少し汗ばんだ手の温かさに、心臓が跳ね上がるのを感じた。


「ね、零くん。私、もう寂しくないよ。零くんが、こうして一緒にいてくれるから」


 明香里は、零の胸に顔を埋めた。彼女の柔らかな身体が零に密着し、制服の生地越しにも、彼女の熱が零の身体に伝わってきた。零は、明香里を優しく抱きしめ返した。


「零くん……もっと、私を感じて」


 明香里の声は、甘く、零の耳元で囁かれた。彼女の言葉は、零の心の奥底に隠されていた、承認欲求と性的な好奇心を揺さぶる。零は、明香里の髪を優しく撫で、その首筋に顔を埋めた。明香里の身体が、零の愛撫に反応するように震える。


「零くん……ダメ、だよ……」


 明香里は、零の愛撫を止めようとしながらも、その声はどこか甘く、零を拒絶しているようには聞こえなかった。零は、彼女の言葉の裏にある、もっと自分に触れてほしいという、切実な願いを感じ取った。


 零は、明香里の腰に手を回し、ゆっくりとスカートの中へと滑り込ませた。明香里は、小さく息をのんだが、零の手を拒絶することはなかった。零の手が、明香里の太ももを撫で、そして、彼女の肌着へと触れる。彼女の肌は、零が想像していたよりもずっと滑らかで、柔らかかった。


 零は、明香里の唇に、そっと自分の唇を重ねた。それは、以前のキスとは違う、深く、そして熱を帯びたキスだった。二人の舌が絡み合い、互いの熱を確かめ合う。


「零くん……もっと……」


 明香里の言葉は、零の欲望を加速させた。零は、明香里の身体を壁に押し当て、スカートをめくり上げる。零の視界に飛び込んできたのは、明香里の赤い下着と、その下に隠された、彼女の柔らかな肌だった。


「零くん……お願い……」


 明香里の言葉は、もはや零を止めるための言葉ではなかった。それは、零に全てを委ねるという、彼女の心の叫びだった。零は、彼女の願いに応えるように、その身体を深く、そして熱く求めた。


 夕暮れの校舎裏。人気のない空間で、二人の身体は、衝動的な感情のままに、熱く、そして深く重なり合っていく。それは、明香里の寂しさと、零の承認欲求が結びついた、刹那的な情事だった。そして、この日から、零とヒロインたちの物語は、決して後戻りできない、新たなステージへと突入していくのだった。

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