見つかった制服への願望

放課後の教室は静寂に包まれていた。


友達が帰り、誰もいなくなったその空間に、悠太はためらいながらも足を踏み入れた。


ずっと抱いていた小さな願望が、今日ようやく現実になる瞬間だった。


彼が密かに思いを寄せていたクラスメイトの女子が着ていた制服を、悠太はロッカーの中から取り出し、そっと自分の体に纏わせた。


「これが…彼女の…」胸の鼓動が速くなる。


鏡の前に立ち、女子の制服を着た自分の姿を見つめた悠太は、不思議な感覚に包まれた。


しかし、彼がその新しい姿に馴染み始めた矢先、教室のドアが静かに開いた。


驚いた悠太が振り向くと、そこにはその女子が立っていた。


彼女の目は驚きで見開かれていたが、すぐにその驚きは笑みに変わった。


「悠太君、何やってるの?」彼女の声は軽いが、その奥に何か含みがあるように感じた。


「ごめん…ただ…」悠太は言葉に詰まった。言い訳など思い浮かばなかった。


彼女は教室の中に足を踏み入れ、彼に近づいてきた。


彼女の手が優しく悠太の頬に触れ、そのまま制服のリボンを直してくれた。


「似合ってるよ、悠太君。でも、これだけじゃ足りないね。」彼女はいたずらっぽく微笑んだ。


「え?」悠太は彼女の意図がつかめずに戸惑った。


「髪もちゃんとセットしなきゃ。それに、ちゃんと女の子らしい動きも覚えなきゃね。」彼女は彼の手を取って教室の外へと導いた。


その日から、放課後の教室は二人だけの秘密の場所になった。


彼女は悠太を本格的に女装させるために、メイクやヘアセットの方法を教え、彼の歩き方や仕草まで指導した。


初めは戸惑いと恥ずかしさでいっぱいだったが、次第にその行為が彼にとって特別な意味を持つようになっていった。


「なんでこんなことしてくれるの?」ある日、悠太が問いかけた。


「だって、悠太君が楽しそうだから。もっと自分を楽しんでほしいんだ。」彼女は優しく微笑んだ。


彼女の言葉に、悠太は胸が熱くなった。


自分を理解し、受け入れてくれる彼女の存在が、彼にとって何よりも大切になっていた。


そして、ある日。二人は街へ出ることに決めた。


彼女の手で完璧に女の子に仕上げられた悠太は、初めて公の場に自分を晒すことになった。


緊張で足が震えたが、隣にいる彼女の手の温もりが、彼を支えてくれた。


「大丈夫、私がいるから。」彼女のその一言が、悠太に勇気を与えた。


街の雑踏の中、二人の姿は誰の目にも普通の女子高生に映った。


だが、悠太の心の中では、これまでにない解放感と幸福感が広がっていた。


「ありがとう。」悠太は小さな声で呟いた。


彼女は微笑み、彼の手をもう一度しっかりと握った。


「これからも、ずっと一緒にいようね。」その言葉が、悠太にとってどれだけ嬉しいものだったか、彼女は気づいていたのだろうか。


悠太は自分の新しい一面を発見し、彼女との絆を深めながら、新しい自分を受け入れていくのだった。

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