第十二話 マルゥの絵本
その日からクロミアはコツコツと本の
「──赤い魚は白い
クロミアは机に向かい、鉛筆でとんとんと額を叩きながら、一人で小さく
「にいさまのご本には、お姫様も出てくる? マルゥのご本にはドラゴンに乗った王子様が出てくるのよ」
読み終わる度に、マルゥはその本を持ってクロミアに読み聞かせに来る。
「うん、お姫様も女王様も出てくるよ」
「こっちのお姫様は最後に王子様のキスで石になった体が元に戻るのよ。……ええとね。昔むかし、花の国のお姫様が、ピクニックの帰りに道に迷ってしまいました。するとテントウムシが現れて……」
「──めでたし、めでたし」
全て読み終えたマルゥは、満足げに絵本を閉じた。それに合わせるように、ドアがノックされる。
「はい、どなたですか」
クロミアはドアの傍に移動し、耳をそばだてる。
「マルゥちゃんにお菓子持って来たんだけど」
聞き覚えのある声が返ってきた。少ししゃがれた声が特徴的な彼女は、ガウスの恋人のエミルだ。
ガウスもかなりの世話焼きだが、彼女も二人を気にかけている。特にマルゥの心配をしてくれて、彼女の着替えや絵本、おやつまでしょっちゅう差し入れてくれるのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます