堅実な設定と熱い友情が絡み合う、読み応えたっぷりの冒険譚です。
魔核や地層、エネルギー理論といった要素が現実の科学を思わせるほど丁寧に描かれ、魔法や戦闘の場面に強い納得感を与えてくれます。「だから炎竜が出せるのか」と思わせる理屈が自然と頭に入ってくるので、場面の迫力が映像のように浮かびました。
また、リザやルシアがただ能力を振るうのではなく、「どう使うか」「なぜ効くのか」を考えながら動いていく描写が素晴らしいです。堅実な理屈がそのままキャラの知性や必死さにつながり、ふたりの姿をいっそうかっこよく映しています。
戦いはご都合主義で片付けられず、「勝てるのか?」という緊張感が最後まで途切れません。けれどもその緊張を和らげるように友情や感情のシーンが挟まれ、理屈とドラマのバランスが絶妙。硬派でありながら温かさを感じさせる物語です。