第17話 パーティメンバーが決まった

前回のあらすじ

俺をずっとイラつかせていたあの女、モニモニ。

正体は「男か!?」と一瞬期待させておいて、やっぱり女。しかも、ただの女じゃなく――俺に“光の道”を示す女神様だった。

こうして俺は決意した。次のターゲットは、調子に乗った転生者たち。

――世界で唯一、合法的に男ばかり狩れる最高の冒険が、今始まる。

本文

「というわけで、ルーズリール、お前は追放だ。」

俺は瓶の中でトカゲ姿になったルーズリールにそう告げた。


「安心しろ。転職先は優しいシスター――チルラーだ。」


するとルーズリールは瓶の中で暴れ出す。

「嫌だぁぁぁ!!誰が“イカレシスター”と名高いあの化け物の飼い犬になんてなるもんか!!」


隣でハイドルが平然と突っ込む。

「飼い犬じゃなくてトカゲじゃん。」

「違う!そういう問題じゃない!!どうせ私は一瞬で天に召されるんだぁぁ!!」


そんな中、チルラーからの手紙が届いた。


『勇者様へ』

ルーズリールの扱いは私にお任せください。簡単に殺したりはしません。

こんなおもちゃを譲ってくださるなんて、勇者様は本当に優しい方です。

なお、1年に一回だけ「中身入りブドウ」を一粒与える予定です。

勇者様が転生者狩りに集中できるよう、私たち4人も尽力いたします。


俺は手紙を読み、素直にうれしくなった。

「さすが、俺の仲間。しっかり気遣ってくれる。」


しかし瓶の中からは悲鳴が響く。

「いやぁぁぁぁ!!死にたくない!!“中身入りブドウ”って何だよぉぉ!!」

ーーーー

ルーズリールは必死に叫んだ。

「お願いします!荷物持ちでも雑用でもいいから、私をここで働かせてください!」


だが、俺は首を横に振る。

「嫌だ。俺は男以外メンバーに入れない。――転生してからずっと、男には“すかしてる”って理由で拒まれて、女にしか好かれない日々を送ってきたんだ。もう二度と、そんなのごめんだ。」


ルーズリールは諦めきれず、声を震わせながら語り出した。

「私の人生は、いつも壁ばかりだった……そう、あの頃みたいに。私は魔界で俺の悪の環境ターベルにいた。何も信じられなかったけれど、唯一の宝は妹のロネルで――」


俺はすぐさま遮る。

「おい!“かわいそうな過去”匂わせたって俺の意思は揺るがねぇよ! それにお前、ハイドルにうつつ抜かしてただろうが!」


「うるさい!うるさい!うるさい再々!私はブドウ一粒以下の、よくわかんないものなんか食べたくない!!」


瓶の中で暴れるルーズリール。

――だが、俺の決意は微動だにしなかった。

ーーーー

ハイドルが珍しく真剣な顔で口を開いた。

「なんだかんだ、こいつと少ししか話してないけどさ……このまま悪魔より恐ろしいチルラーに渡すのは、さすがにかわいそうだろ」


俺は腕を組んで考える。

確かに――レックスに女装させたり、勝手に儀式を始めたり、俺の身体を乗っ取ろうとしたり……やってることを並べると、こいつは十分やばい。いや、むしろ笑えないくらいの悪行だ。

それでもハイドルは必死だった。

「頼む! 同じ悪魔だからさ、あんまり苦しむところ見たくないんだよ」


……そんな目で言われたら、俺だって揺らぐ。

「しょうがないな。特別に俺のパーティに――」


その瞬間、瓶の中から騒々しい声が響いた。

「ねえねえねえねえねえ!聞いた!?ハイドルが私のこと心配してるのよ!!なにこれ最高のご褒美!エルルカに即報告しなきゃ!」


俺とハイドルとレックス、全員の心が一瞬で一つになった。

――もうお前、帰れ。

ーーーー

ルーズリールは必死の形相で訴えてきた。

「それに、私がいないと困ることも多いのよ!」


俺は腕を組んで疑問を投げる。

「例えば?」


ルーズリールは自信ありげに胸を張った。

「例えば念力!私は10トン以上のものを動かせる!」


ハイドルは目を丸くして俺に耳打ちする。

「確かにそれは便利だ!荷物運びも楽になるし、戦いでも役に立ちそうじゃん!」


俺は申し訳なさそうに首をかしげた。

「……実を言うと、俺は100トン動かせるんだ」


場の空気が一瞬で静まり返る。

それでもルーズリールは諦めずに続けた。

「じゃ、じゃあ……私の割れないウロコ!これは防御系の中でも――」


「ごめん、防御系スキル38持ってるから、たぶん俺の方が硬い」


「じゃ、じゃあ睡眠魔法!」


「それも持ってるし。てか別に使わなくても勝てる」


ルーズリールは小さく唇を噛みしめ、最後に小声でつぶやいた。

「……もう後は透視ぐらいしか……」


俺はその言葉を聞いた瞬間、即答した。

「よし!仲間に入れよう」


「なんで!? アンタ持ってるんじゃないの!?」


俺は視線を逸らしながら曖昧に答える。

「……まあ、その理由は話せば長くなるから、あとでいいや」

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