第18楽章 想い出の三年坂
転べば三年目に死ぬという
この坂を君は長い髪を揺らして
振り向きもせずに駆け下りたね
初めてのふたりのデートコースが
いつか予感してたように
別れの場所になってしまったね
大人になるってことは想い出を小さく丸めて
まるで流れる水のように
サラリとサヨナラが言える
そしてアリガトウと 最後にポツリと言える
もしそうだとしたら僕は
大人になれなかったんだろう
あの日君にはサヨナラさえ言えなかった……
初めてのデートの時にふたりの
恋はこの坂で 転んだのかい
だから三年目で終わったのかい
あれからまた 三年という月日が
僕の心を変えられないまま
人混みに巻かれて坂を登らす
大人になるってことは人の心を踏みにじる
そんな強さを持つことと
相手を傷つけないように
さり気ない優しさを最後に残すものなのか
もしそうだとしたら僕は
大人になれなかったんだろう
あの日君には優しさなどあげれなかった……
三年坂の夕陽は今日も同じ色をしてる
そしてひとつの物語が
今日も時という名前の
色エンピツで描き続けられている
その物語の主人公に僕はなれなかっただけさ
今でも君の想い出に縛られたまま……
【創作メモ】
100篇の中にある『三年坂の夕陽』という詩の男性(側)から書いた同じテーマの詩であります。こちらの方が先に書かれています。
こちらは、歌詞が長く、色々な(飾り?)言葉を詰め込んでいます。それが、シンプルな女言葉の詩の方を選んだ理由のひとつではありますが、どうも、男性言葉で書くと、経験談?と誤解されるので、同じテーマの女性版を作った!という次第です。
京都の三年坂(=産寧坂)は、今は観光地として有名ですが、グレープ(さだ まさしと吉田雅美)の解散コンサート?のライブ・アルバムのタイトルになる頃は、まだ知名度は低かった気がします。
わたしが学生の頃、初めて坂を登った頃は、清水寺に向かう、脇参道のひとつでした。
俳優の松方弘樹が、ビートたけしの番組で人気をはくしていた頃、三年坂の真ん中に、松方弘樹のグッズ(その番組のキャラクター・グッズ?)を販売する店を作りました。人通りは賑やかになりましたが、風情は……?
今は、古い京都を忍ばせる坂に戻っているようですが……。
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