【寸劇風小説】兄妹は禁断の恋に落ちるか? 前編

【第2話・前編】

呼び方と脳内披露宴


ルキリス:兄上って呼びたかったの?

私は兄さんでも、お兄様でも、一向に構わないよ?


……名前で、呼んでもいいよ?

さあ、どうする?


あぁ、すまない、急かしてはいけないね?

全部でもいいよ?



エルフレイア(戸惑いながら、小さく)

「……兄上……?」


ルキリス:かっ、かわいい……! もう、無理、本当に!

今すぐに結婚しよう、式場を抑えて、お客様リストを作って──


ウェディングケーキには君と私の人形でものせようか?

もちろん食べられるやつにして、交換して食べよう……

困ったな、永遠にファーストバイトしてられる、どうしようか?



エルフレイア(プルプル震えて)

「なんで、新郎新婦がウェディングケーキを食べ尽くす勢いなのよ。兄さん」



ルキリス:まぁまぁ。お色直しは二十回くらいあれば足りるかな?

……いや、1日では無理だな。何日くらいする? エルフレイア?


(あまりの熱量に一歩下がるエルフレイア)


「は、はやいっ!! 展開がっ!!

脳内披露宴が、もはや王国規模の国家行事になってる!!」



(頭を抱えるが、口元は遠慮がちに微笑んでいる)


「えっと、えっと……ま、待ってルキリス、式場の予約や披露宴の前に……その……」


(俯いて、小さな声で)


「……ちゃんと、告白してもらってない、よ……」


(視線を上げて、まっすぐ彼を見つめる)


(ハッとして)

ルキリス:すまない、先走った。

求婚シーンの台本を100ページほど持ってくるので、好きなのを選んでくれないか?

いくつでも構わないぞ?


エルフレイア:「いやなんで台本100通りもあるの!?

どれだけ事前に用意してたの!?!?」


ルキリス:それだけ、真剣ということさ。

(……瞳もそう語る。口も──まだ黙る気はない)



ルキリス:まずは土下座で誠意を表すので、踏みつけてくれ!

いや、ください、エルフレイア!?


エルフレイア:妹にはそんな趣味ありませんよ、落ち着いて? お兄様。



ルキリス:おっと、またすまない。君を前にすると饒舌で……考えなしになってしまうね。

口うるさい男は嫌いかな?

嫌われたら……お兄さま泣いてしまうよ。


困ったな、諸外国に舐められるかな?

まぁ、舐めらる前に潰せばいいか。


おっと、余計なことを言ったかな。



(跪く)


ルキリス:……好きだよ、エルフレイア。

好きでは足りない、愛してるよ。

……まだ足りないな。


君は王国の太陽! 優しい月! 私の空! 母なる大地!

君が海なら、永遠に溺れていられるよ!!!

いや、死ぬ! 今すぐ死んでしまいそうで、本当に困る!


哀れなお兄様を助けてくれないか、エルフレイア!!!


こっち、みてくれないと──あと、10倍は叫びますよ、私は!!!



エルフレイア(真っ赤な顔で背を向けながら)

「……っ、叫ばないで……! うるさい、うるさいっ!

……っもう、バカ兄様ぁ……!」


(こっそり振り返るも、視線が合って慌てて逸らす)



※つづく(後編は甘さマシマシ)

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