第8話 契約結婚の申し込み 1
(これは一体どういうことだ⁉)
桜は混乱した。
今日初めて会った人物が自宅にいるのだ。
桜が混乱しても無理はない。
(和服美人がなぜ家に⁉ それにしても和服美人、和室が似合うなぁ……)
混乱しつつも、ついついうっとり見とれてしまう。
(美人だよなぁ。ホント、
感情が忙しい桜に向かって、父が自分の隣をトントンと叩いて促す。
「桜、こちらへ。ここに座りなさい」
桜は大人しく父の隣に座った。
そこは和服美人の正面だ。
机の上には【ここ一番の大事な時に使う湯呑】が茶托の上に置かれて出されている。
和服美人は優美に頭を下げながら名乗った。
「僕は
「あ、わたしは桜です。鬼頭桜と申します」
慌てて自己紹介する桜に、
金に近い茶色の髪がサラサラと音を立てる。
(うわっ、うわっ、うわぁぁぁぁぁ)
桜は意味もなく心の中で叫ぶ。
そうでもしないと変なことを口走ってしまいそうだからだ。
「存じております。でもあなたが桜さんだったなんて、さっきお会いした時には気付きませんでした。ご縁があるのですね」
「はぁ……」
ぼやんとした返事をする桜の横で、祖父は鬼瓦のような表情を浮かべている。
それに動じることなく笑顔を浮かべている
(じーちゃんにビビらない男の人って初めて見た)
桜を挟んで両隣には鬼頭家の男性陣。
机を挟んで反対側には
さらにその奥には、運転手とおぼしき紺色の制服を着た、妙に体格の良い男が正座して一同を眺めていた。
(なんだこの状況)
戸惑う桜の隣で、父が口を開いた。
「それで
「どうぞ
桜さんの、と前置きが付いているにも関わらず、お父さんと呼ばれた
(お父さんがピリピリしている。いつも呑気なのに珍しい……)
桜は父の顔を見たり、
祖父の方は振り返るのも嫌なくらいピキピキした怖い緊張感が漂っている。
(なんだこの状況~)
桜はどうして良いのか分からず、正座したまま固唾を呑んで状況を見守ることにした。
父が再び口を開く。
「では
「桜さんに結婚の申し込みをしようと思いまして参りました」
「けけけけ、結婚⁉」
桜は仰け反り驚きの声を上げたが、両親や祖父は特に驚いている様子はない。
(どういうこと?)
動揺しているのは桜だけのようだ。
他の者は皆、【知ってましたよ?】みたいな表情を浮かべている。
「結婚と申しましても、契約結婚でよいのですが……。桜さんは何が何やらさっぱり分からないですよね。どうして僕が桜さんと契約結婚したいのか、なんて」
「実はですね。僕、鬼なんですよ」
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