第3章 ワクワクの始まり

いつもより濃い群青色に揺れる波。歩けばコツコツと音を立てるタラップ。あおく澄み渡る空。全部が私のワクワクを泡立てる。

 いるだけでこんなこんな気持ちが高ぶるんだもん。実際にアクティビティとかしたらどんなに楽しいんだろう。

「マリン!ぼんやりしてると今度こそ置いてくよ!」

「本当に遅れちゃうじゃん〜」

 いつの間にか二人ともタラップの列に並んでいる。やばい、こんな所で置いてかれたら大惨事だ。

 私は心急くままに走り出して、なんとか他の人が並ぶ前に列に辿り着く。

「はぁ……間に合った……」

 ほっと一息つくと隣でシェルがむくれる。

「もぉ〜!マリンが悪いんだからねっ!」

「ごめん。考え事してた!」

 不満げでもシェルはやはり可愛い。

「どんな事考えてたの?」

 みなみから質問。何を考えてたか、と聞かれても……非日常感に浸ってたり、みんなとここにこれて嬉しいな〜とか?

 ちょっと伝えるのはくすぐったいけど……ま、いいよね。

「えっと、みんなとこういうイベントに居られる非日常感と幸せに浸ってました……」

 私の言葉を聞いた二人は一時的にフリーズ。

 え?私、なんかおかしな事言っちゃった、かな?

「みんなと居られる幸せ」とか重いかな?愛が。

 一人でオロオロ心配してると急にシェルが抱きついてくる。

「マリンっ!反則だよ突然そんな嬉しい事言うのは!」

 いや、シェルの打ち消し不可能な可愛さの方が反則級だから……

「そうよ、急に驚かさないでよね……」

 みなみは、はにかみながら両手を合わせる。これは嬉しい時の彼女の癖なんだ。

 ん?どんな仕草も絵になるみなみも反則級なのでは?

 なんで私は特技もなんもない地味っ子なのにこんなすごい二人と過ごせてるんだろう?それこそ反則級の奇跡だよ……

「と、とりあえずそろそろ私たちがタラップを降りる番だから…物とか落とさないように気をつけてね」

 少しまだ照れが残ってるようなみなみにシェルと元気よくお返事す。

「「はーい!」」

 少し不安定なタラップの上では少し足取りがおぼつかない。私の緊張感をほぐすように背中を温かな風が押す。

「わっ!」

「も〜、マリンはなんもないトコで転ぶんだからぁ〜!」

「そんな事ないよ!ほら、転んでない!」

 私は転けるギリギリで踏みとどまる。

「でも危なかったでしょ。

 はい、バック」

「ありがと!」

 落としかけたバックを受け取ってタラップを降りる。

 え〜っとそしたら次は……地図を見ながら私達のクラスの宿舎に向かうんだっけ.....よしあっ

た。これどうりに進めばいいんだよね!

案内はみなみに任せて進んでいるとみなみが突然急停止する。

「どうしたの〜?」

「地図が途切れてる.......」

「あれれ?印刷ミスかなぁ?

じゃあシェルのを使えば......って、途切れてる

ー!?」

私のは...やっぱり途切れてる。

前に広がる道は三本。これって...結構ピンチ、なのかも?

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