第2話「先生と生徒」ごっこ

//SE 玄関チャイムの音

//SE あなたが慌てて玄関に駆けつける

//SE あなたが玄関のドアを開ける


//涙声で

「助けてー……」


(何事かと驚くあなた)


//涙声で

「明日……テスト……」


(迎え入れるあなた)


「おじゃまします……」


//SE 玄関に入る藍咲の足音

//SE あなたが玄関のドアを閉じる

//SE 藍咲が靴を脱いで家に上がる


「きみの部屋って2階の端っこで合ってるよね?」


「よかった〜。おじゃまするの久しぶりだからさ。忘れてたらどうしようかと思って」


//SE フローリングを歩く2つの足音


「……忘れてたら何回でも教えてあげるって? んふふ、さすがきみ。ありがとぉね」


//SE 階段を上る2つの足音


「にしても、急に暑くなったよね〜」


「昨日までの肌寒さはどこに行ったんだ!ってさ」


「風邪引かないようにしないとだよ〜」


//SE フローリングを歩く2つの足音

//SE あなたが片開きのドアを開ける


「おじゃましまーす」


//SE 部屋に入る2つの足音

//SE あなたが片開きのドアを閉じる


//感心したように

「相変わらず綺麗にしてるね〜」


「……え、全部見越した上? 藍咲の突撃訪問のために普段から綺麗にしてるの?」


//嬉しそうに

「ふふん、藍咲、ずいぶんときみに愛されてるね?」


「幼なじみだからでも、十分嬉しいよ」


(照れ隠しに慌てるあなた)


//SE 部屋の中央に置いてある机まで移動する2つの足音


「そんなことより勉強は大丈夫なのかって?」


//絶望感を滲ませて

「……そうだった」


「大変まずいんだった」


「ねぇ、きみ。……藍咲の先生になってくれませんか?」


(疑うあなた)


「その通り、ごっこ遊びのお時間です! 嫌なことほど楽しいことを混ぜないとね」


//SE 藍咲があなたの右隣に移動する


「というわけで、よろしくお願いしますね。先生?」


「実はこの前、数学の小テストがあって……」


「でも点数が悪すぎて」


「……先生から、今度の結果次第では補習って言われちゃったんです」


//慌てながら

「いや、その、点数は」


//絞り出すように

「……100点中25点でした」


(驚くあなた)


「しっ仕方ないじゃないですか!」


「数学だけは苦手なんですから……他の教科は余裕で80点は取れるのに」


「……どこが分からないのって、そんなの全部に決まってますよ」


//SE カバンから教科書、ノート、ペンケースを取り出す


「まあ、テスト範囲はここからここまでですけど」


「とりあえず練習問題解いてみて? ……先生がそういうのなら」


//SE ペンケースからシャーペンを取り出す

//SE ノートを開く

//SE シャーペンを2回ノックする

//SE ノートに問題を写し書く


「……」


//SE シャーペンで書いては消しゴムで消す


「……」


//SE シャーペンで書いては消しゴムで消す


//悩ましげに

「……んん?」


(呆れるあなた)


//涙声で

「分かんないです……」


「なにこれ、どこから解き始めればいいんですか」


「……お手本、見せてくれるんですか?」


「お、お願いします」


//SE シャーペンを2回ノックする

//SE すらすらとノートに書いていく


「は、早い、ですね」


「……わ、ほんとだ! 途中式も全部合ってる!」


「先生、数学が得意なだけありますね?」


「よっ! 先生!」


「……今から藍咲もこれを解くんだよって? む、無理です無理です」


「だって先生が解いてたの見ても全然分かんなかったし」


(宥めるあなた)


「大丈夫じゃないんですよ!」


//恐る恐る尋ねるように

「……え、本当に分かるまで教えてくれるんですか?」


「藍咲がなかなか分からないからって根を上げたりしませんか?」


「信じて、いいんですか?」


(頷くあなた)


//SE 藍咲があなたに抱きつく


//右耳の近く、涙声、吐息混じりで

「せ、せんせぇ……よろしくお願いしますぅ」


//SE あなたが藍咲の頭をぽんぽんと撫でる


//照れ隠しをするように

「……じゃ、じゃあ、早速お願いしますっ!」


「まずはこの問題からですね」


//SE ノートに問題を写し書く

//SE 教科書を2ページめくる


「……ここにやり方が書いてる? わ、ほんとだ!」


「このやり方だったら……ここを変えてみてっと」


//SE ゆっくりとノートに書く


「こういうこと、かな」


「先生、どうですか?」


//SE 赤ペンをノックする

//SE 赤ペンで答えの部分に三角マークをつける


//嬉しそうに

「惜しいんですね?」


「……んふふ、そっか。惜しいんだ。もうちょっとで正解なんですね?」


「よーし、もう一回確認だー!」


//SE ゆっくりとノートに書く

//SE 教科書をめくる


「あっ、そっか。ここ違うじゃん」


//SE シャーペンを1回ノックする

//SE ゆっくりとノートに書く


「こ、今度はどうですか?」


//SE 赤ペンで答えの部分に花丸をつける


「やった! 合ってたんですね」


「今なら次の問題も行ける気がする!」


//SE 教科書を1ページめくる

//SE ノートに問題を写し書く

//SE ゆっくりとノートに書く


「あ、これ違うかも」


//SE 消しゴムで消す

//SE ゆっくりとノートに書く

//SE 赤ペンで丸つけをする

//SE ノートに問題を写し書く

//SE ゆっくりとノートに書く


「いい感じいい感じ」


※しばらくの間、5つのSE(教科書を1ページめくる、ノートに問題を写し書く、ゆっくりとノートに書く、消しゴムで消す、赤ペンで丸つけをする)をランダムに繰り返す。合間に藍咲の呟き(「うーん」「なるほどね」「惜しかったか」)を入れる


//SE ゆっくりとノートに書く


「ど、どうでしょうか?」


//SE 赤ペンで丸つけをする

//SE ノート全体に赤ペンで花丸をつける


//安心したように

「で、できてたぁ。花丸もらえちゃった」


//嬉しそうに

「ふふん、数学ってこんな風に勉強すればいいんですね。この調子で勉強したら補習回避も夢じゃない、かな?」


「先生、ありがとぉございました!」

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