第40話 最後のわがまま


終わりにしよう、と言われました。

2年です。一緒に住んでいた期間だけで、2年。交際し始めたのはさらに2年前。


どうして?

他に好きな人でもできた?

尋ねると、


そうじゃなくて


と苦しそうに言うじゃないですか。


そうじゃなくて、もう、好きじゃないんだ


少し寂しくも感じたのですが、こうもはっきり告げられてしまったならば、潮時だということでしょう。

わかった、と答えました。じゃあ最後に、ディナーを食べに行きましょう。


もうこれで最後、これっきりです。

だからもうひとつワガママを言ってみたんです。

ほっぺを指さして、キスしてよって。


罪滅ぼしのつもりか、すぐに優しい唇が頬に触れました。そして妙な顔をしましたね。


ピリリとしたでしょう。でも大丈夫、ふたりおそろいですから。


あなたに毒を盛るのは、これで最後。

わたしが毒を飲んだら、これが最後。


ね、わたしはとっくにあなたのこと、好きじゃなかったんですよ。

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