第31話「五体投地・チベット仏教」
愛媛県に入り歩き遍路をしているタケゾウ。前方に不思議な動きをする二人がいた。
「合掌して手を上げ、手をついて、膝をつきお祈り? うつ伏せになって手を伸ばし、立ち上がり3ぽ歩いて、手を上げて、膝をついて、うつ伏せ……祈りなのか!?」
お遍路にしては、変な動きをしている。
「あれは、
シャム猫のテトラが言う。
「あれをやると、どうなるんだ?」
「チベット仏教では最上の祈りかたなんだ。普通はその場で、立ってからうつ伏せになるを繰り返して祈るんだが、巡礼で聖地ラサを目指して祈りながら歩いたり、神聖な山カイラス山の周りを五体投地で巡礼するんだ」
「ラサ? カイラス? 初めて聞いた。あんな動きじゃ、ぜんぜん進まないんじゃないか?」
「チベットは外国人が気軽に行く土地ではない、政治的にも難しい。だからあまり知られてないが、チベットでは、カイラス山は聖なる山だ。カイラス山の周りが一周52キロと言われ、通常徒歩で2泊3日で巡礼するんだが、五体投地で2週間ほどかけて巡礼する者も多い」
「そんなに大変なのか! なんで、そんなことをするんだ?」
「五体投地は、『人のために祈る』と言われている。家族の病が治るよう祈ったり、自分のカルマからの脱出のためにやる者もいるようだ」
「あれをやれば願いが叶うのか?」
「チベット仏教では信じられている。自我を消しさる修行でもあり、阿頼耶識に達する者もいるぞ」
「あのやり方で阿頼耶識になれるのか!?」
「阿頼耶識はなるものではなく、あるものだぞ」
「? どうゆうこと?」
「阿頼耶識は、宇宙の図書館とも言われている。図書館は行くもので、なるものではない。図書館を作りたいわけではないだろう?図書館に行って、何かを調べたいとか、何かについての知識を得たいのだろ?」
「図書館なの? 阿頼耶識は行くだけで、周りに美女が来て、ご馳走がいっぱい現れるような世界じゃないの?」
「おまえ、それは極楽浄土のイメージだろ!それは、あの世に行ってからやれ。阿頼耶識は時間と空間を超えて勉強したりシュミレーションを繰り返せる場所だ。図書館と実験室みたいなものだぞ」
「え〜っ、そうなのか〜 行くだけで幸せになれる王様の宮殿みたいなものをイメージしてたんだけどな〜」
「そういうものではない。アーティストが阿頼耶識に行き絵を書いたり、音楽を作ったり、科学者が発明したりする場所だ。お前は、導引を理解できないと薬師如来様に消されてしまうんだぞ」
「あ〜っ、そうか。そうだった。なんとなく、お遍路で八十八ヶ所を周ればOKと思っていた」
「ただ、ぐるぐる周っていてもダメだ。修行自体が好きだというなら、それもいいが、何かを求めているのなら、それを勉強するんだ。そのための阿頼耶識だ。おまえは般若の目を持っているんだから阿頼耶識を使えば過去の出来事も見れるはずだ」
「えっ、そうなの? 般若の目を使えば、その人の過去ならだいたいわかるけど、過去に起こった出来事も見れるの?」
「たぶんな……」
「それなら、エジプトに行ってピラミッドの前に立てば、どうやって重い石を持ち上げたかも分かるってこと?」
「それは無理だろう……おまえの能力なら、たとえ過去が見れたとしても、昨日か一昨日が限界で四千年も前のピラミッドは見れない」
「なんだ、そうなのか……あの石を積み上げるのを見たかったんだが……」
「もっと現実につかえ、阿頼耶識は修行しなくても誰でも使える。趣味や仕事に没頭して時間を忘れている人は阿頼耶識にいるとも言える」
「趣味でもいいの? プラモデルを作ってるとかゲームをしてるでも?」
「自我を捨て、時間と空間を忘れて没頭してれば阿頼耶識と言える。普通にお遍路で歩くだけでも行ける者もいるし、昔の仙人は釣りをする者が多かったぞ」
「釣りか〜俺はやらないからな……」
「何かを考えていると、朝の寝起きにハッと気がつくこともある。寝起きの狭間も阿頼耶識に入りやすいぞ」
タケゾウは五体投地の人達を追い抜き、コンビニでおにぎりとお茶を買って五体投地の人にお接待であげた。タケゾウがお接待をするの非常にまれである。
五体投地の人達はチベット人で、手にサンダルをはき、ヒジとヒザにはサポーターをして、前掛けは分厚い物をして、ボロボロの姿だった。
タケゾウの目には自我を捨てひたすら祈るチベットの人達が神々しく見えた。
📜📜📜 神仙道ワンポイント。
【五体投地】
仏教において、最も丁寧な参拝方法で、チベット仏教では、良く使われているようである。
1、直立して胸の前で合唱して頭の上に上げます。
2、合唱したまま、頭頂から眉間、喉、胸に移動させます。
3、地面に両手、両膝を付き、額を地面につけてお祈りします。
4、体を地面に着け足を伸ばし、腕も伸ばします。
5、立ち上がり、再び胸の前で合唱して、動作を繰り返します。3回、7回、21回、108回と自分に合わせて繰り返し行ないます。
6、歩いて行なう場合は、うつ伏せで手を伸ばした所まで歩き、お祈りを繰り返します。
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