第33話 船の墓場
昔には海だった場所が地層変動によりせり出してきた場所に船の墓場がある。
そこは立ち入り禁止地区だけど、僕は興味をそそられて船の墓場区に入った。
折れた柱に、割れたボディ、木製の船たちの眠る場所。
そこにひとけは無いはずで、ひとりで登ったりくぐったりしては進んできた。
そして出会ったのは、黒い眼帯をした骸骨。
赤いコートを羽織っていて、不思議な形の帽子をかぶっている。
その骸骨を息を呑んで見ていると、その骸骨がこちらを見た。
「《なんだ、久しぶりに小さな蟹以外の気配・・・》」
「が、骸骨が喋った!?」
「《お宝は欲しくないか?ひとりでさびしいんだ。話を聞いてくれたらあげよう》」
お宝が欲しかった僕は、すぐに骸骨になついて話の催促をした。
丸太に座り、ふたりの間に焚き火がされる。
昔昔ね、船乗りの青年がいた。
その青年はお宝にしか興味がなく、何を誰をだましても平気だった。
お宝さえあればそれでよかったんだ。
とある日青年は、玉をくれた人魚から鱗をもらった。
それを食べるといいことがあるのよ、って言われて・・・
一枚くらい願掛けに食べてもいいだろうと、口にした・・・
そしてそれは玉をだまされて渡した人魚からの復讐だった。
青年は不死になった。
お話を聞いてくれてありがとう。
お宝をあげよう・・・この玉、を。
玉を受け取った僕を前に、交代だと言って骸骨は砂になって崩れた。
僕は玉の持ち主である人魚を探しに、海に出た。
そして今日も、玉を渡す相手を探している。
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