第2話 阿吽の魔除け


 土が茶色であることが普通だと思っていた。いや、普通だろう。普通は、茶色だ。そのはずだ。今踏みしめている土地の土は、情緒で言うと「赤い」のか?


 通りは舗装されていて、両方が「赤土:あかつち」を材料とした守り神を誇っている。

 魔除け、と言う意味で守り神らしい。


 口を開けているものと、閉じているものがいる。

 「あうんの呼吸の、「あ」と「うん」、のこと」らしい。



 [ メモ ]


 あうんの「あ」は、言葉。

 あうんの「うん」は、思慮を意味する。


 あが男性(オス)でうんが女性(メス)らしい。


 昔は簡単に、女は黙ってろみたいに言われていたが

 男が守るから、女は自分的つつましやかに側にいてくれ、ってことなんだそうだ。


 それが分からない者は、人生経験不足らしい。


 つまり家内安全を示すので、

 昔はこの言葉に理解のない成人した頭の持ち主には男女共に結婚は許されなかった。


 いつの間にか曖昧かあやふやになった、ってやつなんだろう。


 ――

 ―――――


 大小の魔除けの守り神だけではなくて、瀬戸物せともの?あれ?焼き物だったか。

 食器や壺なんかもショーウィンドウから見える。

 そのまま店頭に置かれていたりするが、きっと盗むひとがいないんだろう。

 治安が安全なところなのかもしれない。


 ひとつはずれると街中で、がやがやしているはず。

 なのにここはどこかなつかしさを覚える静けさがある。


 珍しがっている私を、その対の魔除けの守り神は喜んでくれているらしかった。

 そんな雰囲気でのほほんとしていた。


「ゆっくり見ていくといい・・・」

「え?」


 振り向くとそこには老爺ろうじぃがいて、なんだ守り神が喋ったのかと思った、と自嘲。

 すると守り神の方が喋った。


 あ「なにと喋っているんだ?」

 うん「こちらには見えない」


 守り神の方を振り向いて、すぐに背後で舌打ちをした老爺の方に振り向き直した。

 そこに、老爺の姿はなかった。

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