第13話 初打ち上げ
冒険者ギルドに帰還した。
「おいギルマス。Eランクは難しいとは何だ?この2人はGランク2人だけでオークを何匹か倒した。誓ってオレたちは手を貸してない。充分Eランクに相応しいと思うが、…どうだ?」
ライオネンさんがギルマスに食ってかかってる。
「そう言われましても、冒険者登録されたばかりの2人ですし…」
「あーあ、アタイら、誰も受けない厄介な依頼をこなしてあげたのに、そう言うわけ?」
ルマンダさんも容赦ない。
「ならば、Fランクと299ポイントはどうでござるか?」
ガナさんが追い討ちを掛ける。
「………。…それなら」とギルマスが折れた。
ライオネンさん、ルマンダさんは不服そうにしているが、実はこの展開、ライオネンさんが最初から読んでいた。
Fの299ポイントはあと1でEランクだ。薬草採取でも上がる。
EからDは1000ポイント、Cへは4000ポイントと跳ね上がる。
「あのギルマス、絶対Eランクには上げたがらないだろうな」
ギルマス権限でランクアップしてEランクになっても0ポイントからのスタート。
というところからの、全てが作戦(シナリオ)通りに進んだ。
ギルマス権限でランクを一気に2階級上げた場合、その冒険者が高難易度の依頼に失敗、最悪死亡した場合はそのギルマスの責任問題になるらしい。なので2階級ランクアップは滅多にないらしい。
僕の父も田舎の出張所でギルド長(ランクアップ権限はない)をしているので、責任問題の重さとかは何となく分かる。
ギルマスも気の毒だった。
サファリの風はギルドを出るまで終始不服そうにしていたが、ギルドを出て最初の路地を曲がったところで大爆笑。
「笑いを堪えるのに顔を顰めるしかなかったッス」
「如何にも」
「明日、薬草でも持ってランクアップしてきな」
「本当に何から何までお世話になりました」
「なりました、じゃねぇ。これからも、だ」「一度チームを組んだら、もう仲間だ」
「はやくオイラたちのところまで上がってくるッス」
「オレたちは明日から次の依頼まで、当初の予定通り休養期間に入る」「帰って来たらまた遊ぼう」
「今日の報酬は2日後に受け取るから、それはアタイが持って行くわ」
とにかくオークの数が多いので処理に2日かかるらしい。
あ、ボアの買取額を受け取るの忘れてた。
僕たちはパブに入った。食事もお酒もガッツリいける店らしい。
僕とミロは15歳なので、この州の条例では軽めのアルコール飲料なら大丈夫。もともと7つ小国が一つにまとまった国なので昔ながらの慣習が条例によって優先される。
席について、僕とミロはワインを頼むことにした。
「皆さんの新人冒険者だった頃の話をぜひ聞きたいです」とリクエストしたら、大盛り上がりした。
このライオネンさんルマンダさんは同郷らしく子供の頃から顔馴染みだったが、チームを組んだのは冒険者になってからだという。
ガナさんとケニーさんは冒険者を始めてからの知り合い、後日加入という流れ。
「僕の知り合いがライオネンさんの事を知ってました」と、クマことゴドゥ先生の名前を出すと、全員が驚いていた。
「ミラ殿だけでなく、ゴドゥ殿も、とは、人の縁とは異なものオツなものであるな」
隣に座るミロをチラリと見ると、ワインのグラスを傾け、ギリギリのところで舌でペロペロしてる。
アルコールは苦手なのかな?と聞こうとしたところで、
「まさか、ゴドゥさんの子供って事はないよな?」
「ゴドゥ先生の息子は優秀で州都の魔法学院に行ってます」「今、ゴドゥ診療所を開いてますから、何かあれば」
と言って父に書いてもらった地図を見せた。
「ここから近いわね。今度行くわ」「もしかして奥さんはセリカさんかカリナさん?」
「カリナさんです。セリカは僕の母です」
また全員が驚く。
「ひょ、ひょっとして、シンヤはクロスさんの息子ッスか?」
「はい」
「驚いたな…」ライオネンさんが呟く。
「父はタトルという小さな町でギルド長をしています」
「この街のギルマスと交換したいな」
全員が笑う。
「でも、父だったら299ポイントはくれないと思いますよ」「気前はいいけど、変なとこでケチだから」
そう言ったところで、ミロが僕に寄りかかってきた。
「ミロ?」
ルマンダさんがすぐに駆け寄り、ミロを見る。
「完全に酔っぱらってるね。でも呼吸は規則的に出来ているから大丈夫だと思う」「シンヤ、ミロを休ませてあげて」
ミロを連れて店を出ることにした。
僕が背負ってきたカバンは腹側に装備。ミロの荷物はミロに背負わせる。ルマンダさんにミロを背負うのを手伝ってもらい、僕らは店を出た。
「皆さん、ありがとうございました。ぜひ、また今度いろいろな話を聞かせてください」
僕はキャンプ場には行かず、ゴドゥ診療所に向かうことにした。
歩きだしたら、自分もアルコールが回っているせいか足元がふらつく。
けっしてミロが重いわけじゃないぞ。
診療時間はとっくに過ぎているけど、まだ起きてる時間だ。
診療所に着くと、両手が塞がっているので、頭突きで扉をノックする。
しばらくすると物音が聞こえたので、
「すいませーん。シンヤです」と声を上げる。
カリナさんが扉を開けてくれた。
「ミロちゃん、どうしたの?!」
「酔っぱらったみたいで…」
「とりあえず寝かせて」
クマ先生も奥から出てきて、
「どれくらい飲んだ?」
「ワインを、グラスで、、これっくらい」
と2本の指でグラスから減ってた量を示す。
クマ先生とカリナさんは顔を見合わせ、プッと笑う。
「ずいぶん燃費が良いな」
「呼吸も正常、顔色も悪酔いではない、問題ないだろう」
カリナさんは濡らしたタオルをミロの額に当ててくれた。
「シンヤは罰として一晩中看病してろ」
ミロのベッドの横に椅子を置いてくれた。
「看病だけ、だからな」
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