再び紡ぐ言葉

アオイの問いを振り払うように、ぼくは再びペンを取った。

書かなければならない――理由は分からない。

ただ、沈黙がぼくを締め上げるなら、言葉に逃げ込むしかなかった。


けれど、ペン先から出てくる言葉は、以前のものとは違った。

どこか震えている。

「見てくれ」「褒めてくれ」と、叫び声のように震えていた。

ぼくは自分の文章を見て、思わず吐き気を覚えた。

しかし、その吐き気すらも誰かに見せたくなってしまう。

矛盾に気づきながらも、止められない。


SNSに投稿すると、すぐに数件の反応がついた。

小さな赤い点が画面に灯るたび、ぼくの胸はぎゅっと縮んだ。

まるで心臓を直接つままれているような感覚だった。

嬉しいのか、苦しいのか、判別がつかない。


ぼくは机に突っ伏し、指先でスマホを何度も更新した。

「もっと」「まだ足りない」と、心の奥から声が湧いてくる。

それはぼく自身の声でありながら、ぼくを突き動かす亡霊の声でもあった。


深夜、画面の明滅に照らされた自分の顔を鏡で見た。

そこには、かつてのぼくではない、何か別のものがいた。

承認を欲しがるためだけに目を光らせる、獣のような影。


ぼくは、再び言葉を紡いでしまった。

それが救いなのか、破滅なのか――答えはどこにもなかった。

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