Episode 32 :【英雄への序章】
「あはは……にしても、『世界を変える』……とは、中々大きく出たもんやね~。
具体的には、どういうプランをお持ちなん?
あ、これはウチの個人的な興味やから、無理に話すことはないけど……」
「……いや……同じ組織に
――
気付けば俺は、少しずつ、自分の目標を語り始めた。
『この世界を、根底から
まずは、俺
そして、それをアピールポイントにして、〝《ヒューマネスト》の
それが、最初の目標だったからだ。
だからこうして、
あとは〈A.E.G.I.S〉で、出来る限り短期間のうちに、『《ヒューマネスト》を撃退・鎮圧し、〈
そうすれば、俺に対する評価は、着実に上がっていき、次第に俺という存在を無視できなくなっていく。
その、揺るぎようのない地位を手に入れてこそ、初めて、『〝〈アフターエリア〉の環境改善〟や、〝トガビト(〈アフターエリア〉に住むことを
だからこそ俺は、『
そんな道筋を、俺は自分なりに、必死に考えてきた。
「――自分でも、
それに、〝世界を変える〟なんて大層なことを言ったって、子供一人ができることなんて、
それでも……何も行動しない言い訳だけは、したくないって……そう言い聞かせて、今日まで生きてきました」
「……そうだったんやね……ごめんね、さっきは茶化すようなこと言い方してもうて……」
鳳紫さんの口調が、少しだけ柔らかくなった。
「ウチは、キミのその覚悟と、それを実際に行動に移せるパワーを、笑ったりなんかしないよ。
むしろ、君みたいな若い子に、そこまでの重荷を背負わせ続けていた……そんな、情けない大人でしかない自分を、恥じるばかりやわ……」
「ああ……君の痛いくらい真っ直ぐな瞳は、自分の汚い部分を見透かされているようで、思わず身が引き締まる。
大人になると、先送り主義というタチの悪い病気を、
雨津星さんが苦々しい表情と声色のまま、ぎこちなく笑う。
それにつられるように、運転席の鳳紫さんも苦笑する。
しかし次の瞬間、雨津星さんは真剣な顔つきと目つきで、俺の顔を真正面に
「だからこそ、気が早い話かもしれないが……君が本気で、少しでもこの世界を変えていくというのなら、俺は最大限
そして、君が世界を救う英雄となるその日まで、全力を掛けて、君を支えると誓う。
これは、今まで見て見ぬふりをし続けてきた、俺なりの……せめてものケジメだ」
そう力強く宣言する雨津星さん。
そんな彼に、俺は次第に――戸惑いを覚える。
雨津星さんの言葉が、嫌だったわけじゃない。
むしろ、彼にそう言ってもらえて、どこか安心した気持ちになれた自分がいる。
しかしそれでも、心中に渦巻く戸惑いや疑問を、
その理由は――。
「……どうして……まだ出会って間もない、俺のために、そこまで……」
思わず口に出してしまった言葉を、今度は鳳紫さんが、ニカッと快活な笑みを浮かべて、答える。
「ナッチャン。人が人を好きになったり、信じたりするのに、理由や時間の長さなんて、関係ないもんやで?」
鳳紫さんが、そのまま優しい声色で、言葉を続ける。
「事実、ウチはキミのこと、すでにちょっと気に入ってるもん。
キミみたいな真面目くんは、年上のお姉さんに、結構モテるもんなんやで~?」
……あまりに真っ直ぐな言葉に、なんて返せばいいのか、分からない。
だから俺は、「……ありがとう、ございます」と、可愛くない返事の後に、そっぽを向く。
そして再び、窓の景色を眺めていた――。
「――!! あいつは……!!」
その時だった。
午前10時を知らせる時報のメロディが流れたかと思えば、高層ビルのあちこちに表示されている電子パネルが突然、同じ映像に切り替わる。
俺は、その映像に映し出された人物を見て、思わず息を呑む。
宝飾品とステンドグラスで作られたような、
見間違えるはずがない。あの〝鎧野郎〟は、間違いなく……!!
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《次回予告》
『さあ、今日も一日、頑張りましょう!
これすなわち、努力は報われ、いずれ花咲く!』
《……何が……何が、「努力は報われ、いずれ花咲く」だ。》
「……あの鎧野郎。あいつは、いったい何者ですか?」
次回――Episode 33 :【彼の者に蘇る、
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