第13話 自衛隊彼の地にてかく戦えり


「諏訪子さん、ご無事でしたか!?」


「この子のお陰です … 」


 山腹から戻る途中で、それこそ焼け爛れバラバラに為った遺体を散々見掛けた

 そして、彼女は臆する事無く、その真実をカメラに収めていた


「まあ、110㍉LAM食らってピンピンしてるんだから、あのドローンも平気な訳だ …… 」

「おっかしいなぁGA◯Eじゃ炎竜の片腕吹き飛ばしてたのになぁ … ?」

「お前はちょっとアニメから離れろ」


「皆さん、亡くなってしまったんですね …… 」


「敵の展開が想定外に早くて、後手に回ってしまいました …… しかし、この子を敵に奪われずに何よりです、無駄死にに為らずに済みました」


「東雲さん、この子は神様です」

「神?」

「は?」


「昨夜、独りで山に入り、傷付いて動けなくなった私を助けてくれたばかりか、撃ち合いや爆発からも守ってくれました!」


「ちょっと待って下さい、怪我を治したと仰るのですか?」

「捻挫した私の足首を手で触れただけで治してくれました」


「 …… それは興味深い話しですが、それだけでドラゴンに変身するこの子を神だとは …… 」


「私はヤト、以前は人間からヤトノカミとも呼ばれた事もある」


 それまで黙っていたヤトが語り出す


「ヤトノカミ …… あぁ有った、6世紀頃の茨城の神様っすね、何で今頃?」

 スマホで調べた佐伯が情報を照らし合わせる


「その関東地方の神と言うのも、人間が勝手に解釈した物で、彼女はヤマトの国の神だと言ってます」


「げっ、先輩!夜刀神って見た者を不幸に陥れる祟り神って為ってますよ!?」

 確かにニアミスした航空機業界は壊滅的ダメージを受けている


「それこそ人間の勝手な思い込みなのではなくて?この子が祟り神に見える?」


「6世紀って …… 日本はまだ古墳時代じゃ無いのか?」

「一応、古事記や日本書紀に記述が有るみたいですね」


「それこそ、後から人間が好き勝手書いた物じゃ無いですか」

「諏訪子さん、なんかやけにこの子に肩入れしますね?」


「ヤトが、この子が何故今回の事件を起こしたのか知れば、祟り神とか言えなくなります!」

「 …… 中隊が到着するまでまだ時間が有ります。お話しを聞かせて頂けますか?」

「勿論 …… え、何?」


 ヤトが諏訪子の袖口をクイクイと引っ張る

「 …… 諏訪子、お腹空いた」


 くうぅぅ〜っと可愛らしくヤトのお腹が鳴くと、ぐううう〜っと佐伯の腹の虫も鳴った

 緊張感が台無しである


「まっ、メシでも食いながらにしませんか?二尉!」

「お前と言う奴は …… 」

 佐伯二曹はレーションポウチを取り出すと、勝手に温めだす


「諏訪子さんもいかがです?オニギリのお礼に!おチビちゃんもおいで」

「調子の良い奴め …… 」


「ではお話ししましょう、この子が、ヤトが何故こんな事をしたのか … 」


 


 


 

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