なかなか奇麗事だけでは測れないなぁ、というのが公開分全体を通しての感想です。
いずれの怪異も、それぞれ何かしら人の心に生じた歪な思いに呼応するかのように生じて憑りついてくるうえに、それらの対処法もなんとも……こう、キャッチコピー通り「正しいだけじゃ、救えない」んですよね。
でも、それもまた「怪異らしい」とすら思えます。
全ての怪異が理屈通りにあってきれいに解決できるものだなんて、むしろそれは勝手な理想なのだと思わされたり。
そもそも得てして理不尽だからこその怪異ですしね。
1話分のボリュームが結構アッサリ気味なので、サクサク読み進めることができるのもポイントです。
気軽に、しかし本格的に怪異体験、読んでみませんか?
文章の繊細さにまず感動しました。
怪異や日常の描写が丁寧で、まるで自分も物語の世界にいるかのように感じられます。
ヒロインとの関係性や心の揺れも丁寧に描かれていて、彼らの一つひとつの行動や感情に自然と共感してしまいます。
さらに、本の中に 【ネタバレ厳禁】 という設定がとても斬新で、物語の緊張感と不思議さを一層際立たせています。
正しさだけでは救えず、偽りだけでは満たされない――そんな現代における人の在り方を繊細に描いた構成も印象的です。
週1更新とのことですが、毎回少しずつ展開していく中で、次の投稿が待ち遠しくなります。
怪異ものという題材ながら、人間関係や心理描写を丁寧に描くことで、ただのホラーやサスペンスに留まらず、心に残る物語になっていると思います。