第19話  真夜中の来訪者 ➂

 ゆっくりと歩んで店の駐車場の角を曲がり姿が見えなく為る。

 これからもコンビニのレジに立っていると色々な事が有るんだろうな、色々な思いを持つ色んな人訪れる場所だから…。


 でも俺は何であんな言葉を掛けたんだろうか?、それこそ何時も通りの『いらっしゃいませ』と『有難う御座いました』で終わらせても良かった筈なのに…、もしかして贖罪なのか…。

 其れを打ち消しする様に配送のトラックが入って来た、さあ次の品出しだお仕事を始めよう!。


「いらっしゃいませ!」

「いらっしゃいませ」

 何時もの忙しい時間帯。

「ありがとうございました!」

「ありがとうございました」

 忙しい時間最後のお客様を送り出した、何時ものお約束が始まる…。

 (´ε`;)ウーン…


来ませんでしたね、お姉さん如何したんでしょうね?」

「何度も言わせるな、土曜だぞ彼氏の処だろ?」

「そうじゃ無くて今週ずっと見て無いんですよ!」

「今週?、そうなのか?」

 今週ずっとって事は木曜の夜以外は来て無いのか…。


「そうなんですよ…、引っ越しちゃったんでしょうか?」

「其れは無いと思うんだが…」

「何でそう言い切れるんです!何か知ってるんですか?」

「俺が知ってる訳ないだろ!」

「さっき其れは無いって言ったじゃないですか!」

「あゝ其れか?、木曜の夜に買い物に来てたからな、きっとと忙しいんだろ…」

「そうなんですね!、良かった又来て貰えるんですね!」

 早くお客様来ないかな、其れ迄コイツの熱弁聴いてなきゃいかんのだぞ…、勘弁してくれ!。


 彼氏と拗れた位で引っ越しては無いと思うんだがあの後大丈夫だったのかな?、泣き腫らすのは喧嘩すれば在り得るが頬が赤かった気がするんだよな、叩かれた後みたいに…。


 翌日曜日は見かけない、まあ日曜だしな…。


 次のシフト、火曜日の深夜だが見かけない。

「後何時ものな!」

 カップ酒と乾き物…。

「ハイ、ハイライト二つですね!、ありがとうございます」

 本日の忙しい時間の最後はお得意様。

「何時も遅く迄お疲れ様ですね、明日も早いんですか?」

「嫌、明日は休みだ、だから今から一杯やってグッスリだ!」

「そうなんですか?」

「オゥ、今日で現場が無事終わったんだ!、明後日からはまた別の現場だがな!、ガハハッ!」

「本日竣工ですか!、其れはおめでとうございますお疲れさまでした!」

「ほう、竣工って言うって事はアンちゃんも現場経験者か!」

「怪我して辞めちゃいましたけどね!」

「そうか、まあ色んな事在るわな、頑張んな又来るヨ!」

「ありがとうございました、またお寄りください!」

 最後の忙しい時間最後のお客様を送り出し次は入荷待ちだな、此の時間の終わりを迎えた頃。


「今晩は♥、此の間は御免なさい迷惑掛けちゃったね?」

 (⋈◍>◡<◍)。✧♡

 いつものスーツ姿で来店し、商品を預かりレジ打ち袋詰、何時もお買いに為ってる商品でアルコールは入って無い、丸く収まったのかな?、代金預かりお釣り渡す。


「有難う御座いました!」

 送り出したが何時もと違った答えが返ってくる。

「また来ますね!」

 そう言われてドアを出て行かれた。

「ん?、また?」

 (。´・ω・)?


 日付が替った午前2時を過ぎた頃、一番暇な時間帯に珍客来店。

「こんばんはー」

「いらっしゃいませ!」

 先程入荷した物の陳列を終え入荷伝票をバインダーに留めレジに背を向けていた、レジを振り返るとお客様がショーケースの方に向われ、其の後姿を見てこんな時間に随分な恰好してる人だなと思う、日中は残暑の名残で温かいが此の時間は涼しく、嫌、肌寒いだろう、暦の上は次の季節に成って居る、入店されたお客様はタンクトップにホットパンツでしかも上下ピンク、此の時間だから夜のお店帰りの人なんだろうな、其れ位に思ってた。


 ショーケースから清涼飲料水を手に取りレジに向かってくる、中々激しい格好で先ずは下に目が行って仕舞うのは性がないだろう…、マジマジと見る訳に行かないが明らかに上は着けて無い、頂の頂点にデラウェア程の粒が乗っている、まぁ~下を見なけりゃ問題無いかと思い視線を上げて息が止まる…。

「今晩は、又来たよ♥」

 俺は今日も厄日かも‥。


 一瞬又酔ってるのか?、どうする?、でもレジ前に立たれてもアルコールの匂いはしない。嘘だろ吞んで無いのか?、まさか素面でこの格好!。


 何かが音を立てて崩れていく。

「嗚呼、あの凛としたイメージが…、仕事の出来る人と言うイメージは…」

 今、俺の眼の前にいるこのエロい人は誰なの…?、俺の知ってる人なのか…?。

「此の間言ってたよね♥だからい~っぱいお話に来たよ!、聴いてくれるんだよね?」

 (⋈◍>◡<◍)。✧♡

「・・・えッ?.、ハイッ・・・」

 俺何かやらかしたのか?、知らずにコノ女性の地雷を踏んだのか?、今夜の仕事は今迄で一番最悪かもしれない・・・。

「ハイお金♥」

「お預かりします!」

 勘弁して、カウンターに両肘附いてる…、ココから胸の谷間が丸見えだぞ!


「さ~て準備運動しよ!」

 呆気に取られる俺に構わず行き成りレジ前で前屈を始めたかと思えば、伸びをし身体を捻る。

 <これって挑発されてるのか?>

 よっぽど自信が有るのだろう、弾む、弾む!。

 <さっきもレジ打ちの最中、カウンターに両肘肘ついて強調してやがったからな!>

 ただ真意が全く判らん?、さっき話に来たって言ってたが俺を挑発して何に成る?、其れとも単純に揶揄われてるのか?。


 でもそんな事の為にこの時間に服装迄替えて店まで来るのだろうか?、他のお客様が居る可能性も在るんだぞ?、チラッと此方見てまた前屈してる?、また深い谷間が見える…、だが俺の反応が薄かったと見え更に深く前屈始めてきた、平常心平常心!、今俺は仕事中だぞ混乱するな!。


 <何してん・・・・えっ?>

 最初は全く解らなかった、深く前屈した時タオル地のホットパンツに尻のラインがハッキリ浮かぶ…。

 <挑発も大概にしろ此奴上下共に服の下に何も着けていやがらねえ!>

 そう在るべき下着のラインがホットパンツに浮かば無い。

 <そう簡単に引っ掛かるかよ!、馬鹿にするな!>


 さて如何した物やら・・・。

 (◎_◎;)!

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