渓谷の境界

東井タカヒロ

不気味な渓谷

 この世界にはまだ僕たちの知らない世界がある。

 そんなある峡谷の記録を記した物語だ。


 俺の親父は冒険家だった。

 よく家を空けては、謎の土産を持って帰ってきてた。

 そんな親父が去年事故で死んで、遺品整理してた時に見つけたものだ。


 それは親父の手記で、今まで親父が行った所の日記のようなものが書かれていた。

 時間を忘れて、しばらく読んでいると、最後のページで書き途中の場所を見つけた。


 どうやら、森の奥地に存在する渓谷で、独自の生態系を築いていると書かれている。

「どこにあんだ?これ」

 親父譲りの血が騒いで、好奇心が爆発しそうになる。


 手記を探っていると、それらしき地名があった。

 その名は、「フレトゥム」

 後に分かることだが、ラテン語で海峡を意味するらしい。


 俺は寝室に手記を持ち込み、夜明けまで読み込んだ。

 幸いにも、夏休みで時間はたくさんある。


 興味が出た俺はフレトゥムへ行くことにした。

 単純に暇なのもあるが、親父がどんな所に行きたかったのか、気になる。


「準備物は……」

 親父の手記にかかれていた必需品と、俺が必要だと思うものをホームセンターで揃える。


「サバイバルナイフに、ガスマスクに……」


 順調に荷物を揃えていく。

 気づいたらキャリーケース2個分まで膨らんでいた。


 親父がよくバックパックだけで行ってたと思うと、身体能力がお化けだと感じさせられる。

 親父の手記にそれは、ジャングルの奥地にある峡谷の1つで、苔が多いらしい。


 約16時間の飛行機を乗り、俺はジャングルへと向かった。

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