第18話
第18話「ドキドキ大発表!二人のハートは割れんばかり?」
⸻
舞台袖で、すみれは手のひらに汗をかきながら小声でつぶやく。
「はる…心臓、ほんとに飛び出しそうなんだけど!」
遥は大きく息を吸ってから、ニヤリ。
「それ…君が昨日の夜、私の枕抱いて寝たからじゃない?」
すみれが思わずビクッと肩を震わせる。
「うるさい!そんなこと、秘密にしてたでしょ!」
遥は笑いながら肩をすくめる。
「だって可愛かったから…へへ」
すみれは顔を真っ赤にして小さくキュンとする。
⸻
場内アナウンスが流れる。
「ただいまより、審査員特別賞の発表を行います!」
すみれは両手をギュッと握りしめて、プチパニック。
「お願い…お願い……!」
遥はすみれの背中をぽんぽん叩きつつ、耳元でささやく。
「大丈夫。君は今日、一番輝いてたから」
⸻
司会者の声が高らかに響く。
「受賞者は――“朝比奈すみれ & 一ノ瀬遥『隠し場所の世界』”です!」
同時に雷のような拍手とフラッシュ。すみれの目がキラリと光り、遥はガッツポーズ。
すみれは「うそ…!」と口を押さえ、遥は「ヤッター!」と両手を空に突き上げる。
すみれが慌てて遥に小声で文句を言う。
「はる、はしゃぎすぎ!恥ずかしいでしょ!」
遥は肩をすくめてウインク。
「君が主役だからいいんだよ、主役は!」
⸻
ステージ中央へ歩み出したすみれは、マイクを握って俯きながらも元気に話し出す。
「えっと…本当にありがとうございます!こんなに大勢の前で話すの、初めてで…むず痒いけど、嬉しいです!」
客席からは「かわいい~!」の声。すみれは思わず耳まで赤くなる。
「でも、これは私一人の力じゃありません。いつも私を支えてくれた、はる――」
すみれが遥を指さすと、遥は慌てて両手で顔を覆い、声も小さくなる。
「え、え? ぼ、僕ですか?」
すみれはニコッと笑い、袖で手を振る。
「あなたがいたから、今日の私があるの!」
⸻
その瞬間、客席の隅で白石瑞希が手を叩いているのがチラリ。鋭い目線だけど、どこか悔しげで――。
すみれは小さく「ふふ、ライバルの視線も熱いわね」とつぶやき、遥は「負けないぞ!」と拳を握る。
⸻
ステージを降りたあと、二人は廊下で並んで歩きながら大声で話す。
すみれが突然、はしゃいでジャンプし、
「ねえねえ、次はどこで上映しようか?世界のどこでもついていくからね!」
遥は笑顔で肘をついて返す。
「だったら、イタリアの映画祭もいいけど…その前にデートしよう?お祝いディナーとか!」
すみれは目を輝かせ、「いい! 何食べる?」と即レス。
「パスタ?ピザ?それとも…はるが得意なスイーツ?」
遥は得意げに指を鳴らす。
「実はね、こっそり特製ティラミスを用意してあるんだ」
すみれが両手で口を覆い、「えぇ~!サプライズ?」と大喜び。
遥は照れ笑いしながら、「大成功だったらいいな」とつぶやく。
⸻
夜空に向かって、二人の笑い声が星のように弾ける。
「ふふ、今夜は眠れないかもね」
「うん、夢みたいだ…でも、これが現実だからもっとすごい!」
手をつないで歩く足取りは軽く、二人だけの甘い未来が今、幕を開けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます