第10話 新たな女性達との出会い
寮に、新しい入居者が来た。
19歳の女性であると事前に聞いていたのだが、見た目以上に大人びた雰囲気の女性だった。
黒髪を後ろで束ねた、目の細い色白の女性。細いシルエットにTシャツとふんわりしたスカートがよく似合っていた。
「荒木です。 よろしくお願いします」
そういって彼女は、部屋の隅に荷物を置いた。
ボストンバッグひとつ。とても少ない荷物だ。
私は大きなトランクで来たのだけど。
荒木さんとは少し他愛のない話をしたと思う。今はその内容は思い出せない。
そのほか、私たちは一緒に食事をとることもなかった。
仲が悪かったわけではない。ただの同居人として、仕事以外で同じ体験をすることは最後までなかった。
私が部屋へ戻ると、彼女はたいてい、就寝中か外出中だった。
仕事場で、さらに新たな女性と出会った。
細身でグラマラスな、とても美人な女性だった。歳は30と幾年か。
彼女・・・名前をリミさんと言ったが、彼女は実業家だった。
本来はエステの勉強のために、このホテルで短期間働くよていだったそう。
だが勤務枠の関係であいにく、ホテルのエステ部門ではない、プールのあるレクリエーション部門へ来たのだそう。
彼女はとても堂々として、自信に満ちていた。
いわゆる、セレブリティだったと思う。
私は彼女にあこがれを持った。あんなふうに自信に満ちた姿でいられるなら。
安定からくる落ち着きなのかもしれない。
しかし実際はただの安定ではなく、自分で富を築いていることからくる自信。
そんな雰囲気があふれ出ていた。
「わたし、このバイトが終わったらスペインへ行くんです」
「留学ですか?」
「はい、そのつもりです。 留学して、素敵なパートナーをみつけたいんです」
そんなリミさんと私は、すぐに友達になった。
彼女が寝泊まりする寮は、私と同じではなく、通り向こうのもっと新しい寮だった。
色んなお話を聞きながら、私は彼女の寮まで歩いて行った。
玄関をみせてもらうと、私の寮と同じように、目に付く場所に自動販売機があり、
そして同じように、ラインナップのほとんどが、果物味のチューハイだった。
彼女は自動販売機にコインをいれ、ミネラルウォーターを一本買い、廊下を歩き去っていった。
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