アイドルがマネージャーに恋してはいけませんか?
海猫ほたる
#1 マンション前
〈効果音〉玄関の電子チャイムを押す
ピンポーン
〈効果音〉ドアが開く音
ガチャ
〈演技〉気怠げな声で
「……はぁーい……ふにゃ……んー……お待たせ……マネージャー君……お迎えごくろう。……じゃ……行こか」
〈効果音〉ドアが閉まる音
ガチャン
〈効果音〉大理石の床に響く二人の足音
〈効果音〉マンションの自動ドアが開く音
シュイーン
〈効果音〉二人の足音
〈効果音〉マンションの自動ドアが閉まる音
シュイーン
〈効果音〉車の電子ロックを解除する音
ピピッ
〈効果音〉車のドアを開ける音
ガチャ
〈演技〉
「ありがと……ねぇ、マネージャー、いつも思ってだけど、この車って、社用車じゃないよね……なんかカッコ良いし……」
〈演技〉悪戯っぽい笑みを浮かべる感じ
「へー、これ、君の車なんだ……ローンがあと24回……大変だね君も……時間がないから早く乗れって?……ああはいはい乗りますよぉ。ね、助手席乗って良い?……この車ってカッコ良いから、後ろじゃなくて前に乗ってみたかったんだ。良いの?……やった!」
〈効果音〉車のドアが閉まる音
バタン
〈効果音〉シートベルトを閉める音
シュルシュル……ガチャ
〈効果音〉車のエンジンを掛ける音。
ぶおおおん——どぅるどぅるどぅる——
〈演技〉疲労感が残る感じ
「……はぁー、まだレッスンの疲れが残ってるかなぁ……腕も足も少し筋肉痛だよぉ……でも今日のライブを楽しみにしてくれてるみんなの為に、頑張らないと……ね」
〈演技〉少し明るく振る舞う様に
「君は、僕がソロになって今の事務所に入った時から僕のマネージャーになったんだよね……考えてみると長い様で短かったね、ここまで来るの。それとも君は長く感じた?……でもようやくだよ。グループを卒業してソロになって半年……ようやく念願叶ってファーストライブができるんだもんね……」
〈効果音〉街中を進む低く唸る車のエンジン音。すれ違う車の音。
「え、会場着くまで寝てて良いって……ありがと。でも、寝れないと思う。やっぱりライブ前だから僕、少し興奮してると思う……昨日もあまり寝付けなかったし。あ、でも大丈夫だよ本番は……これまでいっぱい練習してきたからね。ソロになってもついてきてくれたおにいちゃん達に、来てよかったって言って貰いたいもん……」
「ん?……君の鞄が?後ろの座席にあるの?……ちょっと待って」
〈効果音〉がさごそと手を動かす。
後ろの席にある鞄を取る
「開けて良い?」
〈効果音〉ジッパーを開ける音
〈演技〉嬉しそうに、されど、ややオーバー気味に
「わあ、僕の好きな、ほたる堂のミネラルウォーター買って来てくれたんだ……さっすが、しごできマネージャー。ちょうど喉乾いていたんだ。貰うねー」
〈効果音〉ペットボトルの蓋を開ける。
〈演技〉ごくごくと水を飲む
「……っはー。うま。……やっぱ僕、水は、ほたる堂のが一番美味しいと思う。ね、君もそう思うでしょ?……え?水なんてどこも同じ?……分かってないなー。同じじゃ、ないんだなぁ、これが。……んー、なんて言うのかな?透き通った中に感じる確かなコク……て言うのかな……」
〈効果音〉がさごそと鞄の中を漁る音
「のど飴も用意してくれたんだ……ちゃんと僕の好きな、海猫印のど飴だ……」
〈効果音〉飴の袋を開ける音
〈演技〉のど飴を舐める
「
〈効果音〉ややくぐもった様な加工されたヒロインの声で鳴るスマホの音声
『メールが来たにゃ!メールが来たにゃ!メール……』
〈演技〉まだ飴を舐めながら
「あ……メール来てる……メンバーからだ……みんな、今日の初ソロライブをお祝いしてくれてるよぉ……メンバーのみんな……ありがとう……嬉しいな……」
「みんなとは、グループ卒業してからずっと会ってなかったし、残ってるみんなも頑張ってるの知ってるから、来て欲しいって思ってだけど言えなかったけど……来てくれるんだ……うぅ……」
〈演技〉鼻を啜る
「……んー?メールの最後、チケットを送ってくれた親切な誰かによろしくね……って書いてある……どう言う事……あ、もしかしてマネージャー、君の仕業だったりする?……そっか、君が、チケットを送ってくれたんだね。ありがと……おかげで勇気でたよ」
「メンバーたちも見に来てくれるなら、ますます今日のライブ頑張って成功させないと……だね。……はー、なんか緊張して眠れなかったけど、みんなのメール見てたら安心して、なんか眠くなってきたみたい。まだ着くまで時間あるよね。……やっぱり、少し寝ておこうかな」
〈演技〉眠たげな声
「ふあぁ…………寝てて良いって? うん……分かった。少しでも寝て……本番……までに体力残して……おきたい……し……じゃあ、に着いたら起こしてね……すう……」
〈演技〉すうすうと寝息を立て始める
〈効果音〉車内には黙々と走るシ◯ックのVT◯Cターボエンジンが静かにそして力強く唸りを上げる音だけが響いている
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます