第2話 高校生活の始まり

 中学を卒業し、私は佐々木真吾くんと無事に同じ高校に進学した。


 そして、クラス発表の日。私たちの名前は、同じ1年B組に並んでいた。真吾くんと一緒のクラスになれたことが、私には何よりも嬉しかった。


 高校でも、私はすぐに新しい友達を作り、クラスの中心で輝いていた。

 中学時代と変わらず、毎日が楽しく、充実していた。



 中学時代に水泳部で一緒だった秋原優斗くんも同じクラスだった。

 理由はわからないけれど、優斗くんは、中学時代よりもさらに陰気な雰囲気になっていた。親しい友達もできていないみたい。

 また、中学のときのように見守ってあげないといけないかもしれない。



 高校に入学して数週間が経った頃、現代社会の授業でグループワークが発表された。先生が「グループは2人以上5人以下で組んでください」と言うと、クラス中がざわめき始めた。

 私はすぐに、真吾くんと、気の合う友達と一緒に4人でグループを組んだ。

 私たちのグループは、いつも笑い声が絶えず、和気あいあいとした雰囲気だった。


 クラスの様子をちらりと見渡すと、まだグループが決まっていない生徒が何人かいるのが見えた。

 その中に、優斗くんの姿があった。彼は中学時代と変わらず、どこか自信なさげで、一人で座っていた。


 ほかには、いつもメガネをかけている、おとなしいたちばな千栞ちおりさんがいた。

 彼女もまた、クラスの隅でひっそりと過ごしているタイプだった。


 優斗くんは、相変わらず誰とも話さず、困ったように周りを見回している。


 中学の時もそうだったけど、本当に放っておけないんだから。

 もし、最後までグループが決まらなかったら、私たちが声をかけてあげようかな。

 そうすれば、優斗くんも喜ぶだろうし、私もいいことをした気分になれる。

 そんなことを漠然と考えていた時だった。


 優斗くんが、ゆっくりと立ち上がり、橘さんの元へ向かっていき声をかけているのが見えた。

 まさか、あの優斗くんが、自分から誰かに声をかけるなんて。しかも、あの大人しい橘さんに? 私の目には、驚きが広がった。


 そして、橘さんが小さく頷き、二人がグループを組んだのを見た時、私は思わず「え?」と声に出しそうになった。

 彼らが組むなんて、全く予想していなかった。


 私は、優斗くんがグループに入れないだろうと思っていた。

 私と真吾くんのグループは4人グループだから、あと1人なら受け入れられる。

 困っている優斗くんに優しく声をかけて仲間に入れてあげる。

 そんなことを考えていた。


 優しい私の姿をみんなに見てもらいたかった。

 でも、思った通りにはならなかった。


 クラスで余りものになってしまっている二人だけのグループで、うまく発表なんてできるわけがない。真吾くんに声をかけられ、私は二人に対する興味を失った。



 高校でも真吾くんとの関係は順調だった。

 私と彼は高校でも水泳部に入部し、彼はすぐにエースとして活躍していた。

 放課後、部活が終わった後に二人で帰ったり、週末にはデートに出かけたり。

 高校生になって親から与えられるお小遣いの額も増え、できることが増えていった。


「佐々木くんと莉乃って、本当にラブラブだよね!」


 周りの友達から、そう言われるたびに、私は最高の気分になった。

 真吾くんといると、私はもっと輝けるような気がしたし、彼も私に夢中なのが分かった。


 ある日、グループワークの準備のためと、私は真吾くんの部屋にお呼ばれした。

 グループワークの準備はほどほどに、私と真吾くんは何度もキスをして、私はその日、ベッドの上で、真吾くんに私の初めてを捧げた。


 真吾くんは、私のことをかわいいと褒めてくれる。

 真吾くんは、私を常に求めてくれる。

 私は幸福感に満ち溢れていた。

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