例え姿が変わり果てても、時の彼方に飛ばされても、人は自らの営みを選び続ける。
この物語は、その普遍のテーマを、静かで丁寧な筆致の中に映し出していきます。
祭りに火を囲む人々、雨と共に本を守る都市、歯車を刻み続ける街──どれも作者の眼差しで切り取られると、失われたものの痕跡と、新たに生き直す力が同時に浮かび上がる。
ゆるやかで落ち着いた雰囲気は、最初こそ入りにくく感じるかもしれません。けれど読み進めるほどに、「変わるもの」と「変わらないもの」の響き合いが心に染みてくる。
気づけば、あなたもまた旅人となり、時を越えた街々を共に歩んでいるはずです。