第25話 餌場の再開
久永さんは相変わらず、毎日一日2回、稗原の元ちゃんフィールドへ行って食事を届けておられます。もちろん、居場所に危険があれば連れて帰る覚悟をしておられますし、心身に異常があれば病院へ連れて行って看病や養生をさせる心づもりでおられます。時折、元ちゃんが遠くで獲物らしきものを捕まえたり、サッと身を隠したり、また走りまわったりしている姿が見られて、逞しさを感じておられました。
9月になりましても、まだまだ暑さが収まりません。お隣の太宰府市では5日、最高気温が35度まで上がり、なんと国内の猛暑日(35度以上)の年間最多記録が47日となりました。国内史上最多だそうです。いつまでこのうっとうしい暑さが続くのでございましょう。
そんな中、久永さんは今日も“乳母イーツ”で里山へ行って、食事の出前に行かれたそうです。すると、しばらく前から猫が先に餌場で待っておりました。久永さんはその子を“おまけ”と名付けました。その近くにもう一匹、小動物が見えました。なんと、元でした。すっかり精悍な野生動物に変わっておりました。
元はその後すぐに笹薮に隠れたそうです。久永さんの、いかにも嬉しそうな顔が目に浮かぶ様です。逞しく生きていたのです。里山でしっかり頑張っているのです。しかも、“おまけ”という猫と一緒とは。
私はフェイスブックに載った写真を見て、涙が滲んで参りました。
-続-
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