気づいたら義妹によって堀を埋められて詰まされてた件

つきな

第1話 怠惰な義兄の家族

「………ん、んむ」


霞んだ視界がゆっくりと晴れる。体を捻り、時計を見る。時計の針は9と10の間を指し、外からの光はなく、暗かった。


僕の名前は大槻浩人。休日だからと昼寝をしたら起きたのは21時半だった高校2年生だ。


「ご飯だけ食べるか…」


ボサボサになった髪を指で整えていく。洗面所で顔を洗い、リビングに行くと電気はついていなかった。


「今日…夜遅いって言ってたな…」


冷蔵庫へと足を進め、冷凍室を開ける。中か冷凍食品を取り出し、裏面の指示に沿って用意を終わらせる。


「ただいま…」


「おかえり」


レンジで温めた台湾まぜそばを食べていると入学式の後にどこかへと出かけていた美亜が帰ってきた。


金…よりも薄め、亜麻色を若干暗くしたような綺麗なロングヘアを留めていた髪留めを取り外してそのままソファーへと座った。それでテレビをつけるわけでもスマホを見るわけでもなくボーッと食べている間ずっと座っていた。


美亜は義妹で、歳の差は一つ。ちょうど今年に自分と同じ高校に進学した。昔からの知り合いという関係だったのが親の再婚で兄妹となった。


「ごめんね〜!遅くなっちゃった!」


「おかえり、母さん。義父さんは?」


「まだ残業中よ。後1時間くらいで帰ってくると思うわ」


母と義父は同じ会社で働いている。同じところで働いているが部署まで同じなわけではない。義父は営業、母は事務作業がメインで滅多に会うことはないらしい。馴れ初めは知らない、というか聞きたくない。


「ねえねえ聞いてよ!あの人、また大活躍してたのよっ!今度は…」


「ごちそうさま、寝るからその話はまたいつかね」


そうあり得ないくらい褒めまくるのだ。耳にタコができそうだ。だからいつもこうして逃亡している。聞きたくない理由はこれと、…あとら過去を思い出したくないってことだ。


俺自身はいいのだが義妹にとってはかなり効きそうだから未だに話されないようにしている。結婚したきっかけは知らないがお互いの家族の前の話は知っているのだけども。


「あのっ…!義兄さん…入ってもいいですか?」


「構わないよ、ゲーム中だけどそれでもい…」


ゲームを一時中断して扉の方を見ようとスマホを置く。目の前には義妹がいた。言い終わる前には音もなく目の前にいた。


「忍者か?」


「妹です」


「いや気配が」


「ただの、い・も・う・と・です」

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