24話 スイレンの見る夢

ユリの体を包み込む白い光は、瞬く間に周囲の闇を切り裂いた。

その光の中で、黒百合の花びらが舞い踊り、まるで彼女自身が呪いと浄化を一身に背負った存在であることを告げていた。


スイレンが声を張り上げる。

「ユリ、力を抑えて!無理をすると自分を壊すだけよ!」


だが、ユリの意識は徐々に遠のき、白い光の中でエンド・フラワーの冷たい声が響く。

『ユリ、私と一体になれ。破滅こそが救済だ』


ローズが拳を構え、破壊の衝動を炸裂させる。

「こんな時こそ、力を解放しろよ!壊せ!壊して世界を変えるんだ!」


シャクヤクの怒りがユリに触れようと手を伸ばす。

「お前は弱い!怒りを力に変えろ!」


しかし、ユリの目に浮かんだのは確かな決意だった。

「違う……私は……浄化の巫女……!」


内なる悪魔の力を否定しながらも、彼女は必死に光を操り始めた。

白い光は次第に柔らかく、暖かな輝きとなり、破壊の衝動を受け流していく。


「この力は、誰かを壊すためじゃない。守るためのもの」


教祖たちの攻撃が激しくなるも、ユリの浄化の力がそれを和らげ、周囲に希望の光を灯し始めた。


スイレンが近づき、震える声で言う。

「ユリ……まだ完全じゃないけど、少しずつ……変われる」


「そう……私は変わる。だから、終わりじゃない……これは始まり」


激闘の中、ユリの覚醒の兆しが光の中で揺らぎ始めていた――。

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