誰にも伝えられない胸の中の『何か』

語彙力。そんな言葉で片付けたくない、この思い。私の胸の中にはじんわりと広がっているのに、この感覚を誰かに話すことができない。


話したくないのではない。決して、自分の中にだけ収めておきたいわけではない。ただ、この胸の中の『何かを』言葉で表そうとしても、適切な言葉が見つからないだけだ。


きっとこのことを親友に打ち明けようものならば、「語彙力がない」の一言で済まされるだろう。先生に言えば、国語辞典が返ってくるかもしれない。


確かに、私の中に言葉が足りないから、この『何か』を伝えることができないのかもしれない。けれども、そういうことではない。そういうことではないんだ。


この胸の中に広がるもの、私の頭の中をずっと支配するもの。これには、言葉というもの自体が適切ではないような気がする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る