第19話 もう、ゴールしても良いよな?
「いきました! レイスのカンストいきました!」
大事な事だから二回いう。
肉体的にも精神的にも限界だ!
こちとら初心者だぞ!
「じゃあ、情報開示して」
「はい、ハイレイス、ワイト、スペクター、属性付与型、纏型?」
「聞いた事無いのが二つあるな」
「属性付与は分かるとして、纏? 私も初めて聞いたわ」
「属性付与型は幾つか種類に分かれるみたいですね、『フレイム』『アイシクル』『アース』『ライトニング』『ダークネス』『ホーリー』……ホーリー?」
アンデッドなのに? 聖属性?
「考えようによっては、牛頭や馬頭だって仏側だし、聖属性側と言えなくも無い……ちょっと無理があるかしら」
「なれんだから、そういうもんなんだろ? 気にしてもしゃーねぇ」
「纏は全く分からないので、とりあえず一体進化させますね」
「お願い」
クラス 纏レイス
パーソナルスキル 飛行 情緒纏綿
クラススキル 再生
透過
羽織袢纏
「えっと、なんか……着れるみたいです」
「着てどうするの?」
「……?」
無言で首を傾げる。
「どんな性能だとしてもサイズがこれだからな、オッサンの別のモンスターくらいしかきれないだろう」
「もう一体作って、メイとアンに着せますか」
「あ、それ良いわね、そうしましょう」
「ウレシイワ」
「ウレシイネ」
「ワタシハアン! アナタガメイ! アンハトッテモウレシイワ」
「チガウワヨ! アナタガアン! ワタシガメイ! メイハトッテモウレシイワ」
なんか違うこと言ってるようで同じ事言ってない?
袢纏になったレイスを二人に着せたら、一気に座敷童感が出て来たな。
赤い長髪の座敷童、サイズ十五cm。
ほぼ日本人形だな。
「……この子達をもっと増やしてくれるなら、百花繚乱に加入出来るよう交渉しても良いわ」
「おいおい、お前んとこ女限定だろうが! どうやって入るんだよ」
「あくまでも彼女達がメインで、こっちはオマケの付属品扱いでなんとかするわ」
付属品って、完全に物扱いはどうかと思う。
もちろん声に出さないけどな!
「こいつらに性別なんてないぞ」
「可愛ければなんでも良いのよ!」
身も蓋もない事を言い出した!
「流石に冗談ですよね」
「え! ……も、もちろんよ! 冗談に決まってるわ!」
その間! それから目を逸らさない!
「流石に付属品扱いで何処かに入るとか無いですからね!」
一応釘刺しておこ。
なんか、マジでそんな動きになりそうな気配あるし。
「残りはどうするんだ? いっそレベル上げちまうか?」
「……」
全力で首を横に振る。
「流石に時間が無いわね……」
「しゃーねー戻るか」
助かったぁ。
「ああ、でも半端だから下に潜って小ボス倒してそこから帰りましょ」
いや、どう考えても上に戻る方が近いんですけど!
ここ六百九十二層なんで! 二つ上に上がるだけなんですけど!
「じゃあ、そうするか」
声が出せずにパクパクしてるうちに方針決まって、また引きずり回されるぅぅ。
黒鬼の俺の扱いがどんどん雑になっていくんですけどー!
終わった! 詰んだって意味じゃ無いよ! 今日の探索が終了した意味での終わっただよ!
やっと受付に戻って来た。
「換金終わりました。 投資分を回収させていただきまして残金を振り込みますね」
「よろしくお願いします」
「お二方が分配を拒否されましたので、全額大井さんに振り込みます」
「はい、分かりました」
戦闘に忙しくてそんなに回収してなかったけど、単価高かったからなぁ。
しばらくは生活は心配無いだろうな。
「これは強制ではありませんが、端数の金額をダンジョン被害にあわれた方や亡くなられた探索者の支援の寄付にいただいてもよろしいですか?」
「あ、はいどうぞ」
端数だし、それくらいの偽善は良いだろう。
「ありがとうございます! では端数を引いた残りの七億円を振り込んでおきますね」
……
……
……
「……は? あ、いやちょっと待って!」
「そうだな、どうせすぐ使う事になるし、ギルドにプールしておいてもらった方が楽だぞ」
「あ、いやそういう意味じゃなくて……」
「そのうち、この人借りに来るから、防具と適当なスキル見繕っておいて、そうしたらそれくらいすぐ無くなるでしょ」
白梅さんまで何言ってるの?
「俺たちがついて回ってるんだ! 魔石だって全部じゃねぇが回収してる! そりゃこれくらいの稼ぎを出さないと恥ずかしいだろ!」
あ、なんか世界が違った。
「えーっと、白梅さんが言ってる感じで動いてよろしいですか?」
「え! あ、はい、あ! それとクラーケンの軟甲をまた用意してもらえますか?」
「良いですよ! 幾つくらい用意します?」
「三百四個お願いします」
「はい、分かりました」
「じゃあ、今日はこの辺で解散ね」
「そうだな! もう少し強くなったら頼み事あるからサボらないで鍛えろよ」
「配信はつけて置いてね、あれでチェックするから」
「色々ありがとうございました!」
怒涛の一日がやっと終わった。
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品はGAウェブ小説コンテスト参加作品です。
コンテストでは皆さんの応援によるランキングを基準とした読者選考というのがあります。
この作品を『おもしろかった!』『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は、フォローや、↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して応援して下さると作者がとても喜びます。
よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます