第10話
夏休みが始まったばかりの夜。花火大会の帰り道、俺と華蓮は人気のない公園のベンチに座っていた。打ち上げ花火の余韻が残る夜空の下、俺たちは言葉もなく、ただ互いの存在を感じていた。華蓮は、俺の隣に身を寄せ、その身体からは、甘いシャンプーの香りが漂ってくる。
「ねえ、陽介……」
華蓮の声が、俺の耳元で囁かれる。その声は、いつもより少し掠れていて、どこか甘く、俺の心を揺さぶった。
「どうしたんだ、華蓮」
俺がそう尋ねると、華蓮は、俺の腕に、そっと自分の身体を預けてきた。
「陽介と、もっと一緒にいたい。……もっと、陽介に触れていたい」
華蓮の言葉に、俺の心臓がドクリと大きく脈打った。彼女の純粋な恋心が、今、俺に、もっと深い関係を求めている。俺は、華蓮の頭を、優しく撫でた。
「華蓮……俺も、同じ気持ちだ」
俺の言葉に、華蓮は、俺の腕の中で、もっと強く、俺の身体を抱きしめた。その瞬間、俺は、華蓮の唇に、そっと自分の唇を重ねた。華蓮の唇は、少し冷たく、だが柔らかかった。俺は、優しく彼女の唇を吸い、そして離した。
「……陽介……」
華蓮の瞳が、驚きと、そして期待に満ちている。俺は、彼女のボブヘアを優しく撫でた。
「ねえ、陽介……キス、もっとしたい」
華蓮の言葉に、俺は再び、彼女の唇を塞いだ。今度は、先ほどよりも深く、情熱的に。華蓮は、俺のキスを受け入れ、俺の唇に、自分の唇を絡ませてくる。
俺たちのキスは、月明かりの下で、静かに、そして熱く、続いていた。華蓮の身体が、俺の腕の中で、微かに震えている。
俺は、華蓮の背中に、優しく腕を回した。彼女の身体が、俺の腕の中で、さらに強く、俺に抱きついてくる。その感触に、俺の心臓は、激しく脈打った。
「華蓮……本当に、いいのか?」
俺がそう尋ねると、華蓮は、俺の胸に顔を埋めたまま、何も言わない。だが、彼女の身体が、俺の身体に、もっと強く擦り寄ってくる。その仕草が、俺の質問に対する、彼女の答えだった。
俺は、華蓮の身体を優しく抱きしめ、立ち上がった。華蓮は、俺の腕の中で、まるで、小さな子どものように、俺に身を委ねている。
公園から、人目のない場所へと向かう。華蓮は、何も言わずに、ただ、俺の腕の中で、俺に身を預けていた。彼女の身体からは、甘いシャンプーの香りと、彼女自身の、甘い香りが漂ってくる。
華蓮の純粋な恋心が、俺の心を突き動かしている。
そして、俺の決意が、今、華蓮の心を、どう揺さぶっていくのか。
俺と華蓮の、新しい関係が、今、静かに始まろうとしていた。
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