第1話 質問

「……異世界の技術レベルは日本より上ですか?」

『全体へ再度連絡します。異世界の技術レベルに関する質問には答えられません。

再度連絡です。異界からやってくるモンスターについて、大きい以外の情報はありません。異世界に森はあります。田んぼもあります』


自分と、恐らく森田が次々に質問をぶつけるけど神様は非常に穏やかな表情で質問に答えてくれる。それにしても、やっぱり異世界の技術レベルに関する質問への回答はないか。今までもそうだったし、異世界の世界観として分かっているのは奴隷がいることと帝国が支配している地域に送られるということだけ。とりあえず、思いつく限りは吐き出しつつ、情報を纏めよう。


まずは2人だけが残る前の質問の回答について。


『地球と行き来するギフトは認められません。また、そのような手段はありません』

『ギフトの移譲は不可能です』

『5年後に来る危機を乗り越えた時の報酬はありません。乗り越えられなければ異世界の人類は滅亡します』

『転移先は5箇所から選べる他に、完全ソロとなるランダム転移も可能です。ただし、全員ある程度近場で固まっており、近くに人がいる場所です。人が住めないような場所には送りません』

『集団転移は十数年ぶりです。前回送った人達も半分は生きてます』

『早くギフトを決めた方にはその分初期資金をアップさせますが、どれだけ早くても倍にはならない程度です』


この辺を聞いた辺りで、灰色ギフトは50を超えた印象だ。細々とした質問やスキルについての質問も多かった印象。


『善神か邪神かという問いには答えられません』

『異世界の言語についての心配をする必要はありません。常識は向こうの世界の一般常識レベルを転移時にインストールさせます』

『獣人、エルフ、ドワーフ、ノーム、フェアリー等、様々な種族が向こうの世界には存在しています』


早くギフトを決めたら初期資金をアップさせるという回答があってからは次々とギフトを選ぶ人が増え、種族についての質問をした辺りで、灰色になったギフトは134個となった。これ以降の質問については自分ともう1人しか聞いてないし、たぶん向こうは最後まで残る算段だろう。


こちらから相談したいという意図の質問をして断られた後、向こうは最後の1人になった時に何か特典があるかという質問をしていた。あの質問はもう最後まで残るという意思表明のようなものだろう。しかしながら自分もまだ、回収できる情報は回収しておきたい。


そしてここからは、自分ともう1人の存在が持つ情報。


『前回集団転移させた存在達の死因は答えられません』

『飛行機墜落後、地球側で死体や遺物は発見されません』

『転移先の世界の情報を引き出す度にギフトとして与えられる能力は少なくなります』

『……初期装備に乗り物は存在します』


ここで自分は「乗り物のダメージを軽減するギフト」を望んだ。転移先は宇宙進出後の世界だと推測したからだ。また、このギフトなら推測が外れていて他の世界だったとしてもある程度の潰しが効くと判断した。最悪中世でお馬さんに乗るような世界だったとしても、馬へのダメージが減るなら大きいだろう。


あとはまあ、普通に喉が渇いて来た。肉体がそのままなら3日間放置は不味いだろう。精神より先に身体の方が死にそう。


どのぐらい軽減するのかは「ギフトとして与えて問題ない最大値」を要望。無事、ギフト一覧に『乗り物へのダメージを25%』というギフトが生えて灰色になった。


……言葉通りの意味なら、ダメージを75%もカットしてくれるということか?


『ようやく決まりましたか。ギフトで与えたスキルについて詳細な説明はいりますか?』

「はい、お願いします。

……ちなみに何人ぐらいがスキルの詳細な説明を聞きました?」

『貴方を含めて107名です。

ああ、もう既に最後の方もギフトを選択したので全体への連絡はありません。

スキルに関してですが、自身が乗る乗り物、またはパーティーメンバーが乗る乗り物へのダメージ量が25%になります。

はい、75%減という意味です』

「……1対1だと心の中読んでくるんですね」


ギフト一覧の表示が消え、与えられたスキルの説明に入るけど、乗り物限定で自分と追加でパーティーメンバーの乗り物へのダメージも75%の率で軽減してくれるようだ。あくまでも乗り物に限定したスキルだから効果が高いし範囲も広いのかな。


これなら幅広く対応できるし、自分が1番懸念している『宇宙船でドンパチする世界』だと有用なスキルだ。最後に転移先を選ぶわけだけど、ご丁寧にA地点からE地点まで人数が表記されるんだな。


1番多いのはA地点で67人。その他は十数人から数人で、合計すると99人だからソロを選んだのは35人か。1/4ぐらいが集団行動出来ない人間なんだな。まあ自分もソロを選択するけど。


……しばらく待っていると、もう1人の最後まで残っていた存在は6人しかいないD地点を選択した。6から7に切り替わる瞬間を見れたのは幸いだったな。あいつは少人数のところに合流しに行くのか。神様の質問の回答的に、最後の1人は森田なのがほぼ確定しているから意外だ。あいつなら絶対にソロで行くと思ってたし。


最後、ランダムで転移をお願いすると一瞬で目の前が真っ白になった。頭が急激に痛くなり、立ってられなくなった自分は頭を抱えながら地面にうずくまって……。


ふと、痛みがなくなると目の前には宇宙船がいくつも並んでいる光景がそこにはあった。

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