レオネス荘の物資危機

朝の陽光がレオネス荘のダイニングルームに差し込む中、いつものように賑やかな朝食タイムが始まっていた。レオが【料理スキル】で作った豪華な朝食を前に、借金まみれの6人家族が思い思いに食事を楽しんでいる。


「わーい!今日も美味しいご飯なのじゃ〜!」リリィが無邪気に手を振りながら、口の周りにご飯粒をつけて笑っている。


しかし、その平和な朝食風景に突然の異変が起きた。


「あれ?トイレットペーパーがないぞ...」レオが慌てたようにトイレから戻ってきて言う。


「洗剤も切れてますわ。あと石鹸も...」エリカが困ったような表情で報告する。


メリサが手元の在庫管理表をチェックし始める。「計算では、日用品の在庫は今日で底をつく予定だったわ」


「俺様の高級茶葉も残り少ない...」カイロスが普段の威厳ある態度とは裏腹に、少し寂しそうな表情を見せる。


「薬草類も補充が必要だな」リューナが冷静に状況を分析する。


「お菓子も最後の一個なのじゃ〜」リリィが手に持ったクッキーを大切そうに見つめながら言う。


レオは慌てて【万能解析】を発動し、レオネス荘の在庫状況を詳細にチェックし始めた。数秒後、彼の顔が青ざめる。


「うわー、マジで色々足りなくなってる。【神器創造】でも全ての食材や消耗品が作れるわけじゃないもんな...」


レオネス荘は【神器創造】スキルで建設された完全自給自足の豪邸だが、流石に消耗品や食材までは無限に作り出すことはできない。魔法にも限界があるのだ。


「仕方ないわね。町に買い物に行きましょう」メリサが現実的な提案をする。


「そうですわね。たまには町の空気を吸うのも良いですわ」エリカが上品に賛成する。


しかし、カイロスとリューナの表情が曇る。


「人間の街か...俺様が行って大丈夫なのか?」カイロスが不安そうに言う。古代竜の威圧感は人間体になっても消えることがない。


「私も...ダークエルフが人間の町に行くと騒ぎになるぞ」リューナも同様に心配そうだ。これまでの経験上、人間社会での差別は避けられない現実だった。


そんな二人の心配をよそに、リリィが目をキラキラと輝かせて言う。


「みんなで一緒に行きたいのじゃ!お買い物楽しそうなのじゃ!」


レオは立ち上がると、力強く拳を握る。


「よし、決めた!みんなでノルム町に買い物に行こう!」


「えー...」カイロスとリューナが同時に不安そうな声を上げる。


「なに弱気になってんだ。俺たちは堂々と生きてるんだぞ。人目を気にして隠れて暮らすなんて、らしくないじゃないか」


レオの言葉には、転生者として、そして借金仲間のリーダーとしての確固たる信念が込められていた。彼の熱い言葉に、みんなの表情が徐々に明るくなっていく。


「...そうだな。俺様も竜王の誇りを忘れるところだった」カイロスが胸を張る。


「レオの言う通りだ。族長として堂々としていよう」リューナも決意を新たにする。


「わーい!みんなでお買い物なのじゃ〜!」リリィが嬉しそうに飛び跳ねる。


こうして、借金まみれの異世界転移者一行の初めての団体お買い物が決定したのだった。




カイロスタクシーで空の旅


「じゃあ、カイロス。悪いけど空の便をお願いします」レオがカイロスに頼む。


「任せろ。ただし燃費を考えて、今日は小型形態での移動だ」


カイロスが【変身】スキルを使って、50センチサイズの可愛らしい竜の姿になる。銀色の鱗がキラキラと光り、まるでぬいぐるみのような愛らしさだ。


「かわいい〜!ちっちゃいカイロスお兄ちゃんなのじゃ〜!」リリィが目を輝かせて小さなカイロスを撫でようとする。


「可愛いとか言うな!俺様は古代竜だぞ!」カイロスが威厳を保とうとするが、その小さな姿では説得力に欠ける。しかし、頬が少し赤くなっているところを見ると、まんざらでもないようだ。


エリカが上品に質問する。「でも、この大きさで私たち6人を運べますの?」


カイロスの動きが一瞬止まる。「...しまった。計算を間違えた」


レオが苦笑いしながら【時空操作】を発動し、一瞬だけカイロスを大型化させる。瞬く間に10メートルサイズの立派な古代竜の姿になる。


「ほら、10メートルサイズならみんな乗れるだろ」


「すまない...燃費を考えすぎた」カイロスが申し訳なさそうに謝る。


みんなでカイロスの背中に乗り込む。エリカは貴族らしく上品に、メリサは移動費を計算しながら、リューナは周囲を警戒しながら、リリィは大はしゃぎで、レオは操縦席らしき場所に座る。


「高い高い〜!雲さんと一緒なのじゃ〜!」リリィが雲に手を伸ばそうとしながら歓声を上げる。


「優雅な空の旅ですわね〜」エリカが風で髪をなびかせながら、まるで空飛ぶ馬車に乗る貴族のような表情を見せる。


「移動費0セルン。効率的ね」メリサが計算機を片手に満足そうに呟く。


「族長時代は徒歩ばかりだったからな...空を飛ぶなんて夢みたいだ」リューナが感慨深そうに地上を見下ろす。


カイロスの飛行は安定しており、30分ほどでノルム町が見えてきた。町外れの森に静かに着陸する。


「よし、到着だ。みんな、準備はいいか?」レオが振り返ると、全員が頷く。


いよいよ、借金仲間全員での初めての町でのお買い物が始まろうとしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る