14 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに
陸奥(みちのくの)の しのぶもぢずり 誰(たれ)ゆゑ(え)に 乱れそめにし われならなくに
源融(みなもとの とおる)│河原左大臣(かわらの さだいじん)
(平安時代の公卿(くぎょう)。嵯峨(さが)天皇の皇子)
若者訳
東北の“しのぶ布”みたいに、
心の模様がグチャグチャグルグルになってしまったさ。
でもさ、これって俺が悪いんじゃなくて――、ぜんぶ、君のまなざしのせいなんだよ。
だからそんな目で見ないでね!
も、もう、心がバグっちゃう……。
現代語訳
陸奥(みちのく)の名産である「しのぶもじずり(忍ぶ草の乱れ模様の布)」のように、乱れる私の心。
いったい誰のせいで乱れ始めてしまったのか。
――私のせいではないのに。
「しのぶもじずり」とは、現在の福島県・信夫(しのぶ)地方で作られた、忍草(しのぶぐさ)を使う染色技法による乱れ模様の染物のこと。
その布の乱れ模様に心の乱れを重ねて詠んでいる。
作者は平安時代の廷臣・河原左大臣(源融)。嵯峨天皇の皇子であり、豪奢な生活を好んだ風流人で、光源氏のモデルの一人とされている。
伊勢物語「初冠」の冒頭にもこの歌が引用されており、恋の乱れを表す典型的表現として古くから人気があった。
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