マスク無しの唇を見られた俺にはこれ以上恥ずかしい事はない
「ベー君は身体鍛えたりしてるんでしょ?」
「好きな食べ物何?お弁当作ってこようか?」
「ベー君」 「ベー君」 「ベー君」
次の授業の時間は俺との仲を深めるという名の質問タイムに変わった。
皆がソワソワして授業にならなかった為だ。
キーン♪コーン♪カーン♪コーン♪
ふぅ、やっと終わった。
質問責めにあうのも楽じゃないんだな。
でも童貞勃起舌をからかうような娘はいなかったんだよな。
もしやバレてないのか?
今だって何人もの唇に囲まれていた為に舌が大きくなっているというのに…
もしかしなくてもこの世界最高か!?
なんて事を考えていると隣の席から声を掛けられた。
ちなみに俺の席は一番後ろで右にはクラスのムードメーカー的な存在のあの娘、ノゾミさん。
左には委員長ことユカリさん。
この二人が俺の教育係?案内役?まあ学校の分からない事はこの二人に聞けって事だ。助かります。
「ベー君、その…次は体育だから…」
ノゾミさんが言いづらそうに、そして恥ずかしそうに体育だと言ってくる。
ここで察せるのがモテる男だろ?
まあ周りの子も体操着袋を身体の前で抱えてるし間違いないな。
これで察する事が出来ないなんてどんだけ鈍感なんだって話。
「悪い、ちょっと待ってて、よいしょっと」
皆が着替える前に着替えてしまおう。
制服のシャツとインナーを脱いでズボンも脱いでいく。
あん?皆に見られて恥ずかしくないのかって?
こちとらマスク無しの唇を全員に見られてるんだよ。これ以上恥ずかしい事はないだろ。
それに良い感じに筋肉も付いてるし見られて恥ずかしい身体ではないはず。
腹筋なんてうっすら割れてるし。
ペチペチ♪ペチペチ♪
腹太鼓のように叩いて腹筋を確認してしまった…早く着替えないと皆に悪いな。
あっ、パンツ一枚に靴下は恥ずかしいかも…早く着替えよ。
「はい、お待たせ!じゃあ俺は廊下で待ってるから…ん?ノゾミさん?」
ノゾミさんだけじゃない、委員長も他のクラスメイトも時が止まったかのように動かない。
「ノゾミさ~ん、ノゾミ?ノゾミ~」
目の前で手を振っても動く気配が無いから肩を掴んで揺すってみる。
「きゃぁ!」
「おっとっと……ノゾミ?大丈夫か?」
動ぎだしたのは良いがバランスを崩してノゾミが倒れそうになる。
つっ、結果抱き止める形になってしまった。
顔が近い…唇が近い…こんな近くで女の子の唇が見れるなんて…
「ベー…く…ん」
「ノゾミ…」
これは…キ…キ…キッジュしても…
くはっ、マズイ、マズイ、童貞舌の俺がキッスなんて行為を考えたから、脳内なのに噛んだ。
落ち着け俺のバカ舌!大きくなるな!ベラベラするな!
もうムリだ、早く逃げないと!
「じゃあ俺は廊下に出てふはら!皆も早く着替えへ」
うわー、また噛んだー!
勃起舌のバカー!
廊下でしゃがみ込み、耳を塞いで現実逃避だ!
◇◇◇◇
彼が居なくなった教室でノゾミは詰め寄られていた。
「「「う」」」
「う?」
「「「羨まし~ぃ!!」」」
「えへへ、どうも、ごちそう様ですぅ?」
「「「きぃ~ぃ!!」」」
「ノゾミって呼び捨てにされて抱きしめられて見つめ合う二人…今…完全にキスの流れだったよね?ねぇ」
「「「しらな~い」」」
「ベー君なんて唇じーっと見ちゃって…顔赤くして逃げ出しちゃうんだから…他のクラスの男と違ってヤりたいだけじゃないんだよね?もぅ、カワイイんだから」
「「「ノゾミ!友達やめるわ!」」」
「それは冗談でも言っちゃダメでしょ~!」
まだまだ女子トークは止まらない。
「まさかここで着替え出すなんて…男子は体育免除なのにね」
「でも良い物見れた、脳内保存済み」
「見た?あの胸板、脱いだら凄いなんて…好き」
「ペチペチ音がお腹の奥に響いちゃぅ~」
「誰かさんじゃないけど抱きしめられたらメス出ちゃうかも」
「まずは名前覚えてもらわないとだよね」
教室の隅では。
「どしたの?シー?」
「………」
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