nランクスキル【自然】で馬鹿された俺、実は最強

天夜水翔

n=1 リセマラの速さは、チュートリアルの長さで決める

西暦2041年、8月28日、その日から、世界は一変した。

各地の首都及び主要都市のほぼ真ん中に、同時で突如に大きな穴が現れた。


奇妙な穴に巻き込まれ、姿を晦ました住民は数知れず、各国、そして日本も珍しく、すぐ軍を出動し、いち早く被災者を救い出そうが、その時、不思議な事が起きた。


一部運よく穴から脱出した人が居た、しかし、皆は口を揃えて、こう言った。


「穴の中はまるで別の世界だった」


それきりで、後はまるで事前に合わせたように、生存者が口を噤んでしまった。


しかし、マスコミのしつこい質問攻撃に耐えかねて、学生っぽい一人が、こう叫んだ。


「あそこは絶対ダンジョンだ!変な怪物に襲われたんだ!間違いない!」


最初、皆は何言ってんだ、こいつ、ゲームのやり過ぎか?と鼻で笑ったが、叫ぶと同時に彼が上がった腕、その上に付いているおぞましい傷を目に当てた瞬間、全員が黙った。


その情報を掴んだ自衛隊は、急いで引き戻し、普段使わない火器と実弾を取り出し、体制を立て直し、万全の状態で突入する。


しかし、


「ねぇ、これスキップできない?」

「ちょっと、せき、何言っているの?駄目に決まっているじゃん」

「だってこれ長いし、内容もほぼ同じじゃない?全部見る必要ないと思うけど?」


持っている透明なタブレット端末を指関節で軽く叩き、俺は幼馴染の九十九つくもかずを説得する。


「駄目なものは駄目、それに、これ最後まで見ないと、サインできないよ、探索者ズーハーになりたいならちゃんと見ないと」

「金を払えば省略できないかな」


ユーパイブYOUPIPEの広告みたいに。


「そんなシステムないよ!」


ないのか、残念。


「じゃ、数美が代わりに最後まで見てよ、俺内容分かるから」


呆れて、数美は半目で俺を睨む。


「ふん?なら、続きを私に聞かせてくれない?私はこれを見て照らし合わせるから、もし一つでも間違えたら、後は自分で読んでね」


数美は俺の端末を奪い、それをひらひらと煽り、俺を挑発する。


「楽勝だ」


その後、自衛隊は現代武器が効かないと気付くでしょう?

それで、逃げ回った一部の自衛隊員は妙な果実を見つけ、好奇心に負けて口にするでしょう?

そして、その人たちは突然スキルが覚醒し、何とか怪物を撃退し、被災者を半数以上救い出したでしょう?


ちなみに、この一連の事件は後でデイブレイクと呼ばれる、あ、ここ、テストに出ます。


事件から半年後、怪物から回収したヘンテコの石は様々な研究されて、新しいかつクリーンなエネルギー燃料として使えると発表するでしょう?

それを伴い、ヘンテコの石こと魔石や見た事ない素材を求め、新たな商機が生まれ、世はまさに大ダンジョン時代。


金が欲しいか?

欲しけりゃいくらでもあるぜ?

探してみろ、この世の全てをダンジョンに置いてきた的な?


しかし、そのせいで命知らずの人が大勢にダンジョン潜り、怪我人、死者、行方不明者が大量に出る。


これ以上馬鹿を増やさないため、各国はついに重い腰を上げる。

ダンジョンを管理するための部署、


Dungeon(ダンジョン)

Control(コントロール)

Depaetment(デパートメント)


略してDCDを設立した、これは国連所属の国際的な組織、ちなみに組織のマークはマゼンタ色のバーコード。


日本国内の場合は異界省に管理されている。


そして、ダンジョンは難易度によって分類され、ダンジョン内で特殊な力を持つ探索者ズーハーもその実力によってSからGランクまで分類される。


これにより、挑戦できるダンジョンは自分のランクプラスマイナス1ランクだけに規定された。


勿論、相当の暇人なら、相当上のランクの人でも、普通に下のランクのダンジョンに入れるけど。


「まぁ、大体こんなもんかな」

「やけに詳しいね」


数美は俺に端末を返し、感心する。


「当たり前だ、俺は昔から探索者ズーハーになりたいから、この手の資料は穴が開けるまで読んだぜ」

「今時紙媒体?」


数美は困惑しつつ、自分の端末に視線を戻す。


俺は気にせず、戻った端末に目を遣る、おお!ちゃんと続けるようになっている。


            【説明事項は全て読みましたか?】

                  【はい】

                  【YES】


「いや、どちらだけにしろう!」

「外国人も結構くるから英語を追加したじゃない?」

「違う!NOを入れろ!NOを!」


NOが言えるこそ外国人じゃないか!


「これ、巻き戻せないから、【いいえ】を入れる意味ないじゃない?」

「そうか」


巻き戻せないのに、確認?


まぁいいや、取り敢えず、【はい】押すと、何々、


            【ここにサインしてください】


            自然しぜん 関弥 2071年 8月28日


            【探索者仮登録、完了しました】


よし、これで俺は晴れで探索者ズーハーにな、らないよな。


そう、これはあくまで仮登録、この後はまだ別の工程が待っている。


「チュートリアル映像を閲覧し終えた生徒はここに集めてください、タブレット端末も忘れずに、帰る前に回収しますので」


引率の異界局ツンフト職員はこの体験ツアーの参加者、つまり我々私立新星学園ダンジョン科の生徒を呼び掛けている。

名前の通り、これは近年設立された、探索者ズーハーを育つための学科。

ここに入る為、結構苦労したな、ゲームも一日一時間しかできないし。


ちなみにこのツアー、申請さえすれば、普通科の生徒も参加できるので、ダンジョンにちょっと興味ある数美も参加している。


他の皆も読み終わったようで、ぞろぞろと職員の前に集まる。


ちらりと傍にいる数美を見る、彼女も立ち上がって、列に参加する。


さぁて、俺も行くか。


お楽しみは、これからだ!


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作者です

気分転換のため、新作始めます。

ちなみに新星学園は八月二十日から新学期が始まる設定です。

決してネタのため、夏休みの期間を忘れたではありません。

後、この作品は縦読みをお勧めしません、理由は後に分かります。

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