老害という言葉の茶番さ

老害という言葉を用いるものがいるがなぜそういうことをするのかに興味が湧いた。老いと害を組み合わせた言葉だ。政治や企業において高齢化が進み円滑な組織の世代交代が進まない状態をいうらしい。大辞林に書いてあった。

世代交代が進まなければどうなるかは正直どうなるかよくわからない。平均寿命が80歳を超えたのはここ最近のことだ。だから未だに老いがどのような影響を及ぼすかはまだよくわかっていないことが多いのかもしれない。経験的に知られているのは新しいことをすぐ覚えることは難しくなる、身体機能が衰える、今までできなかったことは更にできなくなりできていたこともへっていく。

数学で言えば若ければ若いほどいいと言われる。数学の気づきが早ければそれだけ多くのことを発見するだろうから。他の分野でも似たようなことがあるのだろう。

組織の方針をどのようにするのかという問題はどうだろう?大学で言えば30代が学長になることはまずない。スタンフォードでさえ研究実績のある60代くらいのものが学長になる。

おそらく年をとっているほうができることがあるのだろう。深層学習でいうデータセットの充実のようなもののような。年をとるとまず自分の得意なことに時間を使っているはずだから得意なものが自分にも他のものにも見えやすくなるだろう。例えばプログラミング言語の構造について若い頃から取り組んでいればそれに関する知見を積み重ねているだろう。そこには知見の積み重ねとそれに基づいた直感がある。

万能な存在などこの世に存在しない。だから他人の不自由さや不完全さについてどうこういうのはおかしい。論理的におかしい。年齢とそういうものを重ね合わせて言うのは茶番というほかない。

世代交代は必要だが老害という言葉が先行して不愉快な出来事を引き起こすのはうんざりする。年齢の違いで知的好奇心や想像力、直感に差が生まれるというのは自明ではないのでそれぞれが確かめる必要があるだろう。ここに必要なのは学術が現在までどのようにできてきたか、その経験知なのかもしれない。

技術ですら根本的なところはあまり変わっていないのだ。だから人間でも似たようなところはあるだろう。


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