第2話 伐採と筋肉痛と魔法猫。国づくりは体力から始まった。

腕を組み、俺様はうんうんと唸っていた。

どう国を作るかなんて、まるで分からん。

建築知識、ゼロ。

資材の加工技術、ゼロ。

戦闘経験、ゼロ。

あるのは、


「本音を引き出す話術だけ……か」


人を良きものにも、悪しきものにも分類せず、話す。

相手が何者であろうと、耳を傾ける。

その姿勢だけは、胸を張って持っている。


「……まぁ、それだけじゃ国は作れんわな」


すると、魔法猫ティータがぽんっと声をあげた。


「ひとつ言い忘れてたにゃ」

「なんだね」

「国を作る前に、まずは自分を鍛えるべきにゃ。弱っちいリーダーに誰がついていくにゃ?」

「ぐっ……もっともな意見だ」

「あなたには【スキル】があるにゃ。使えば、すぐにでも強くなるにゃ」


俺様はうなずき、島を見回す。

地形を見た感じ──川があり、草原が広がり、木々が密集している。

水も食糧も資材もすべて揃ってる。ここが、俺様の国の【始まりの地】になるだろう。


「動物も飼ってみたいな。中には凶暴なやつもいるかもしれないけど……仲良くしてみたいんだ」


俺様にとって、【差別】という言葉は存在しない。

生きてる意味がない命なんて、この世界のどこにもないんだから。


「よっしゃ、気合入れていくぜ!」

「がんばるにゃー」

「右手よーし、左手よーし、これぞ伐採のトンボー!!」

「そのテンションで木に突っ込むと痛い目見るにゃ」


突っ込みを背に、俺様は駆け出した。

右腕と左腕が、まるでチェーンソーのように変化し、木をばっさばっさと斬り倒していく!

ドガァン! バキィン! ガッシャアアアン!

俺様が駆けたあとの森には、無数の切り株と倒木の山。

たった数分で──100本の木が地に伏していた。


「……くっ……体が動かん……」


その場に倒れ込み、息を切らす俺様。全身がバキバキだ。


「説明忘れてたにゃ」

「い、今!? そのタイミング!?」

「【スタミナポイント】って知ってるにゃ?」

「知らん!」

「イメージすれば見えるにゃ。緑のゲージが、あなたのスタミナにゃ」


言われた通りイメージすると──

頭上に、緑色のバーが出現。現在【1/100】。限界中の限界だった。


「スキルを使えばスタミナが減るにゃ。回復には時間がかかるにゃ」

「ふはは、それを先に言え……!」

「でも、おめでとうにゃ! レベル3に到達したにゃ!」

「嬉しいけど、素直に喜べん!」


体を横たえて1時間、ようやく体力が回復し、立ち上がれるようになった。


「さて、今回覚えたスキルを教えるにゃ」


【新スキル獲得】

・積み上げ

・体操

・テイム


「まずは積み上げスキルにゃ。これは、物を高精度で積み上げることに特化したスキルにゃ」

「具体的には?」

「例えばあの岩の上に木を乗せたいと思ったら、ポイって投げるだけで自動で綺麗に積み上がるにゃ。力は不要。精密作業が可能にゃ」

「おお、建築に使えそうだ」

「次は体操にゃ。5分ほど体操すれば、スタミナが全快する便利スキルにゃ」

「回復手段があるのは助かるな……」

「そして最後。テイム。これは魔物・モンスター・獣を仲間にするスキルにゃ。

それぞれテイムの条件は異なるけど、共通するのは“心を通わせる”ことにゃ」

「質問。魔物とモンスターと獣ってどう違うんだ?」

「いい質問にゃ。


・魔物=魔力を持つ知的存在

・モンスター=魔力はないけど危険な存在

・獣=普通の動物たちにゃ」


「じゃあ、ティータさんは……?」

「それは──秘密にゃ」

「うわ、あやしい!」


その後、俺様はさらに伐採に励み、資材を確保。

木材が山のように積まれていく。日本なら確実に怒られるレベルだが、ここは異世界。問題なし!

ティータが言う。


「今のうちに資材を貯めて、国の土台を作るにゃ」

「そうだな。まずは住める場所、食べられる物、仲間を作る……」


これから始まる俺様の建国計画。

だけど、これは単なる王国じゃない。

人も魔物も、モンスターも、獣も。

すべてを受け入れる、誰も拒まない国だ。


「よし。次は仲間を探すか──」


国造り、1日目。

俺様の伝説は、ここから始まる!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る