悪魔と契りし復讐者~クラスメイトに殺された俺は、異世界で悪魔と契約し、復讐する~
れいや
プロローグ 彼は静かに殺された
雨の音が、窓を叩いていた。
教室の隅、荷物置きの陰に、ひとりの少年が蹲っていた。
加藤玲。
ただの、高校生。
クラスにいても空気のように扱われる。声を上げれば、笑われ、殴られ、蹴られた。
それが日常だった。
「マジでさ、こいつ、痛がる顔だけは面白いよな。」
「泣けよ、ほら。泣けって!」
「おーい、スマホで撮っとけよ、あとで使うから!」
笑い声が響く。
机を倒され、椅子も蹴り飛ばされ、血が飛び散った。
誰も止めない。教師は見て見ぬふりをし、クラスはそれを「日常」として許容していた。
玲は何も言わなかった。
ただ、心の奥で、冷たい炎を灯していた。
——やり返せるなら。
——壊せるなら。
——俺を“こうした世界”ごと、焼き尽くしてやりたい。
その日も、いつものように暴力は続いた。
だが、ほんの少しだけ強く殴られすぎた。それだけの違いで、玲の心臓は止まった。
死の間際、彼の脳裏に浮かんだのは、あの教室の天井と、誰かの笑い声。
そのまま意識が闇に沈んでいく……はずだった。
——違う。
次に目覚めたとき、彼の瞳に映ったのは、この世のものではない空だった。
紫の空に、血のように赤い雲が漂う。足元に広がるのは黒く枯れた草原、死の気配が風に混じっている。
「……ここは、どこだ?」
その問いに答えたのは、ひとりの女だった。
長い黒髪。赤い瞳。背には蝙蝠のような翼。
そして、微笑みには地獄すら嘲るような冷たさが宿っていた。
「やっと目覚めたのね、加藤玲。
……あなたは“この世界”に選ばれた。呪いと復讐の器として。」
玲は何も言えなかった。
ただ、女の目を見た。
それは、誰よりも玲の“怒り”と“絶望”を知っている目だった。
「あなたが流した涙、受けた暴力、押し殺した叫び——そのすべてが、力となる。
さあ、私と契りなさい。復讐を果たすために、あなたの魂を焚べるのよ。」
そして、玲は笑った。
歪に、哀しく、どこか救いを拒むように。
「……いいよ。俺の心なんて、もうとっくに死んでる。」
その瞬間、世界が赤く染まった。
契約は結ばれた。
それからしばらくして。
王都ルクレティアの神殿に、異世界の“勇者”が召喚された。
日本の高校から来た十数人の少年少女たち。
彼らは口々に叫ぶ。
「やった! まじ異世界! 勇者だってよ、俺ら!」
遠く離れた呪われた森の奥、赤い瞳が静かに開いた。
玲は立ち上がる。
黒いマントを翻し、女悪魔と共に、静かに歩き出す。
「地獄から来たのは、俺だ。
さあ、“勇者様”。今度はお前たちが、裁かれる番だ。」
復讐はもう、始まっている。
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