第26話 金髪美少女と破天荒美少女
「初めまして。臨海女子高校から転校してきました。神楽坂 莉愛です。慣れないことが多いと思いますが、助けていただけると嬉しいです」
翌日、本当に莉愛は転校してきた。
しかも、俺と同じクラスに。
周りの男子はかなり喜んでいたけど、みんなはまだ知らないのだろう。
目の前にいる転校生が陽太の彼女であることを。
「じゃあ、神楽坂は空いてる席に座ってくれ」
そう言って担任が指さしたのはなんと俺の隣の席だった。
一番後ろの席で、誰も話しかけてこなかったから平穏な学校生活を送れていたのに。
どうやら、神様は相当に俺のことが嫌いらしい。
泣きたくなった。
「よろしくね? 瑠衣君」
一番後ろの窓側の席、いわゆる主人公席に座った莉愛は俺にウインクをしてきた。
それを見ていたクラスの男子からは等しく殺意を向けられたわけだけど、それよりも愛夏から向けられる視線が凄く怖かった。
「お前、変な事すんなよ」
「ええ~だって面白いじゃん? このクラスにいるんでしょ? 噂の瑠衣君の彼女さん」
「知っててやったのかよ」
猶更質の悪いことをしてくれる莉愛に頭を抱えながら、この後どうやって愛夏に説明しようかを考えていた。
まあ、陽太と一緒に弁解すれば信じてもらえるだろうけど。
莉愛は隣の席で機嫌がよさそうにコロコロ笑っている。
笑う姿は可愛いと思うけど、こんな性悪な女と付き合いたいとは思えなかった。
「まあね~陽くんからそこら辺のことは聞いてるよ。で、容姿は聞いてなかったんだけど今ので誰が瑠衣君の彼女かわかっちゃった。めっちゃ可愛い子じゃん!」
言いながら莉愛は俺の方に顔を近づけてくる。
こいつ絶対にわかってやってるだろ。
「お前……マジで性格悪いぞ?」
「ふふ~ん。瑠衣君が困ってるのは珍しいから楽しいニャー」
妙なにやけ面で莉愛は笑っている。
なんと性格の悪い事か。
前の方から向けられる愛夏からの視線がより一層厳しいものになる。
付き合ってからまだ日も経ってないのにこんなことをしないでいただきたい。
まあ、愛夏はしっかり俺の話を聞いてくれると思うんだけどな。
「はぁ。もういいや」
今の莉愛に何を言っても無駄だな。
そう諦めをつけた俺は陽太が来るまで待つことにした。
◇
「陽太……助けてくれ」
「あら~いい感じに干からびて。流石莉愛。恐ろしい子」
「その言い方は酷いよぉ~」
休み時間になってから陽太がやってきたことで、俺はついに莉愛のイタズラから解放された。
なんというじゃじゃ馬。
こんな女の子の手綱を握れる陽太はシンプルにすごいと思った。
「にしても、本当に転校してくるとは思ってなかったぞ? どうやったんだ?」
「普通に転入試験を受けて入ってきたよ! 結構頑張った! 褒めて~」
「お~よしよし。莉愛はえらいな~」
目の前でナチュラルにいちゃつく二人を見て胸焼けしそうになってくる。
というか、今のやり取りで陽太と莉愛の関係性を察したのかクラス中の男子生徒が膝から崩れ落ちていた。
……ドンマイ。
「俺の目の前でイチャつくなよ」
「別にいいだろ? 最愛の彼女が頑張って転校してきてくれたんだからイチャついてもさ。それよりも、お前の彼女がお出ましだぞ?」
そう言って陽太が視線を向けた先には愛夏が立っていた。
「えっと、瑠衣君と神楽坂さんは知り合いなの?」
困惑気味に愛夏は俺に向かって聞いている。
怒ってはいないようで安心したけど、なんて答えるのが正解なのか。
「えっと、まあ知り合いだな。ここにいる陽太の彼女なんだよ。莉愛は。そのつながりで俺も面識がある」
「改めまして神楽坂莉愛です。ここにいる陽くんとお付き合いさせてもらってます! 瑠衣君とは何ともないから安心してね~」
莉愛はニコニコしながら愛夏に自己紹介をしていた。
相変わらずのコミュ力の高さに感心しながら俺は補足を入れておく。
「その通りで、莉愛とは何ともない。というか、陽太の彼女だし何よりも俺は性格の悪い奴が苦手だ」
「性格悪いって酷いなぁ~ねぇ、陽くん?」
「……いや、否定はできないな。莉愛は確かに可愛いけど、性格はたまに良くないからな」
莉愛から眼をそらしながら陽太はそういった。
どうやら彼氏からも性格が良いとは思われていないらしい。
完全に盲目になりきっていない陽太に素直に感心した。
「えぇ~酷い!」
「な、なるほど? でも、なんでさっき瑠衣君とあんなに距離が近かったんですか?」
「瑠衣君のクラスに彼女がいるって陽くんから聞いてたからちょっと揶揄ってみようかなって思ってさ。それに、珍しく瑠衣君が焦ってたから見てて面白かったニャー」
全く悪びれる様子がない莉愛を見て頭痛がしてくる。
こいつは、本当に性格が悪い。
しかも、それを自覚してるんだから質が悪い。
「た、確かに性格悪いね」
「む、初対面の人にもそう言われてしまった……まあ、瑠衣君の彼女さんならこれからも長い付き合いになりそうだからよろしくね。えっと、」
「あ、私は一ノ瀬愛夏って言います。瑠衣君の彼女です」
そう自己紹介して二人は握手を交わしていた。
莉愛が愛夏に悪影響を及ぼさないか心配で仕方がなかった。
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