第2話 竜の皮を被った化け物

洞窟を抜けると…遠くに建物が見えた。


クレイヴ『この先に村がある様だな…』


その建物に近づくにつれて…次第に悪臭が強まる…

かつての村があった場所は、既に朽ちており…無数の屍が其処彼処(そこかしこ)に転がっていた。


クレイヴ『これは…あまりにも…』


此処で、ある考えが頭の中を過った…

これは、ただの「夢」では無いと…


そして…身に覚えの無い…1つの記憶が頭の中に流れ込んで来た。


「俺の人生」の終点…それは、クソゲー画面の前と決まっていた。

だが、その記憶は何もかも違っている…

まるで、「今までの人生」が嘘のように元から無かったように思えてくる程に…


クレイヴ『ハハッ…俺はどうかしたのか?ゲームのし過ぎだな…全く…』

クレイヴ『此処が…俺の故郷だなんて…』


クレイヴ『これは夢…ただの偽物(まやかし)だ。』


ザザザザ!!


?『どうなってる!この様な化け物が居るはずが無い!』

?『あれは…フレイムドラゴン…』


?『先遣隊が殺られたのも…』


?『もう追って来ていない様だ。』

?『逃げ切れたのか…』


?『ああ…私たちは助か…』


?『おい!後ろ!』


ドジュ!!

「グブ!!」


?『尖った木を尾で…』

?『奴にそんな知能が…』


?『もう終わりだ。』

?『奴は我々を弄んでいるのだ。』


?『お前は何を言っている…』


?『身体が暑い…焼けるようだ…』

?『皮を剥ぎたい程に…』


グバァ…

ボォボゴォォォォォ!!!


ドドドドドォォォォォォ!!!


クレイヴ『爆発音!?』

クレイヴ『それも近い!?』


?『何故…生きている…ああ…そうか…半身だけ…残っているのか…』


?『早く…殺せ…殺してくれ…』

?『暑い…痛い…』


ドォ…

ドォォ…

ドォォォ…


?『化け物め…』


ドォォォォ…

グィィ…


?『殺せ…殺してくれ…』

?『痛みで…どうにかなりそうだ…』


俺は、爆発音が鳴り響いた方に駆けつけた。

俺は、予感していた。

それは、身の毛もよだつ程のドス黒い気配を放つ…怪物の存在を…


俺の予感は的中した。

その正体は、巨大な龍の姿をしていた…


人が苦しむ様子を、ただ嘲笑うかの様にして見下ろしている…

その龍に、本能だと思う…異質さと不気味さを抱いた。


だが…意を決して

その化け物に問い掛ける。


クレイヴ『お前か…さっきの爆音の原因は…』


その竜は、雄叫び1つ挙げずに静かに見下ろす…

その眼は…まるで虫ケラを嘲笑うかのようなそんな眼をしていた。


雄叫び一つ上げない敵は強い…

本能的にそう感じた。


クレイヴ『どうやら…俺が知ってる竜(ドラゴン)とは違うみたいだな…』


ヒュゥ!!


クレイヴ「!?」


ドドドドド!!!


クレイヴ『身体諸共…持っていくつもりか…まともに受けると即死だな…』

クレイヴ『まあ…このまま…こいつを野放しには出来ない…』


クレイヴ『一度…人を殺めた獣は、もうそれは獣では無い…魔物だ。』

クレイヴ『お前も…元に戻れないと分かっているな?』


俺の発言を聞くや否や…その竜は、静かに首を下ろした。


クレイヴ『それが…お前の答えだな…』


クレイヴ『償いか…はたまた…悟りか…』


閉じている瞳には、微かな涙の雫が滴る…

それは、泣いているような…確かな覚悟を感じた。


クレイヴ『俺が終わらせてやる…』

クレイヴ『お前のその…嘘も…』


その竜は、ただ…人を欺き騙そうとしているだけであった…

黒い悪の渦が…その竜には宿っている…


赤黒く血で染まった鉤爪が、身体を引き裂く勢いで迫る…


ズザァァァ!!


シュゥン…


ズサァ…


それと同時に俺の手は、その竜を貫いていた。


ポタッポタッ…


その竜の血は黒く濁っている…

何処か遠くを見る様な瞳をゆっくりと閉じる…

それが…嘘で無いと…俺は静かに理解した。


クレイヴ『そのまま…眠れ…』

クレイヴ『お前にしては…静かな最期だろう…』


ボゴォボゴォ…


クレイヴ「!?」


クレイヴ『意識の外で…まだ…邪念を隠していたか…』

クレイヴ『その生きようとする執念は見事だな…』


ズバァァァ!!


その竜は、首を刎ねられると共に絶命した…


クレイヴ『苦肉の策も…これで終わりか?』


クレイヴ『まったく…実に過酷(ハード)だな…』


クレイヴ『さっきの戦いで、この世界の大体は分かった。』

クレイヴ『弱い奴は、ただ淘汰される…』


クレイヴ『いいだろう…やってやる…俺は、この世界を完遂(クリア)する!その先に、何が待ち受けるのか…見てやろう!』


クレイヴ『魔王か…そいつがこの世界のラスボスなのか?』


クレイヴ『数多のクソゲーをクリアして来た俺はそう…驚かないぞ…』


ドサッ…


クレイヴ『何だ…身体が動かない…』


途端に身体が重くなると…倒れ込んでいた。

意識が薄れている中で、微かに声が聞こえて来る…


?『こいつには確かに「力」がある…使えそうだな…』


?『連れて行け…』


俺は、気付くと牢獄の中に居た。


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