金蓮

 金蓮


私は※倭(い)に住んでいる。※(日本の天上界)

 地上に居る人間たちは私たちの事を、仙人、あるいは魔法使いと呼ぶ。


 私たちは天上にいて人間というものを別の角度から理解するように作られた人間に過ぎないことを皆は良くわかっていない。

 特殊な事が少し地上の人間より出来るだけで私達天上の人間と地上の人間に大して差は無い。


 だが、それを上も下も皆わかっていない。


 鼎(かなえ)は、いつもの訓練で木刀を持ち出して振るっていた。

訓練が終るころ、鼎(かなえ)は木刀を仕舞い、あずま屋で一息ついた。


「そこにいるのは鼎(かなえ)じゃない?」


中国風の着物を着た流し目の美しい人は私の面倒を見てくれる姐さんで名前は金蓮という。


「無事だったのね、鼎(かなえ)。」


「姐さん、心配をお掛け致しました。」


「私の髪をいじらせてあげるからお茶にしましょ。」


そう言って姐さんは茶器を並べた。





「三年は寝ていたみたいだけど?」


「面目ありません。」


「私はモノリスなんか使わないからあんたのような事故とは無縁だけど、なにか引っかかるわねぇ。」


「いいんです、それよりも私は姐さんの出身地がいつも何処だが知りたいと思ってます。」


「絶対に教えてあげない、でも私の出身地を当てたらほめてあげるわよ。」


鼎(かなえ)は金蓮の髪を丁寧に梳いた。


金蓮の髪から鼎(かなえ)の指先を伝って上質な魔力が流れ込む。

上質な魔力を持つ天人の世話をすると質の良い魔力を分けてもらえるのだ。

上質な魔力ほど、様々な魔法が使えたり武術を強化できる。


「毎度ありがとうございます、金蓮姐さん。」


「少し、艶っぽくなったわねぇ、鼎(かなえ)、寝ている間に好きな人でもできたのかしら?」


「え?!」


「へぇ、図星?」


金蓮はくすくすと笑った。


「いいえ! そんな!」


「隠すことないわよ、どんな人?」


鼎(かなえ)は真っ赤になった。


「よく覚えてないんですモノリス事故で不時着した土地で…。」


「それから?」


「子供を産みました。」


金蓮は飲んでいたお茶を喉に引っ掛けて鼎(かなえ)の頭をひっぱたいた。


「あんたねぇ、物事には順序っつうものがあんの、いきなり子供を産みましたなんて言われたらびっくりするじゃない。その前の話は? 相手は誰なの?」


「赤い甲冑以外何もよく覚えていないんです。」


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