モノリス事故

モノリス事故


少女は喘ぎながら目を覚ました。

ひどい脂汗で彼女の体は熱くぬめってのったくっていた。

布団から起き上がる。


「水…。」


灰色の目、黒曜石を思わせる黒い髪の少女は水をがぶ飲みした。


小さな足音が近づいてくる。

「起きたのね、鼎(かなえ)、三年間この寮で眠りっぱなしですごくうなされたわよ、ふふふふ…

あんたがモノリス事故を起こしておねんねしてまるまる三年ってとこ。」


 真っ赤な目を持った紫のウサギはニタニタ笑っている。


「最悪だな…今はいつだ!」


鼎は悪態を突きながら白い服を脱いで汗をぬぐった。


(モノリス事故、それは、天上の人間が起こす事故で彼らが使う石、モノリスによって起こる操作事故。内容は天上界の人間、天人はそれを使ってあらゆる世界、あらゆる時代に飛んで仕事をするのだが、使い方を間違えて不完全な意識と肉体のまま、知らない土地、時間があやふやな世界に不時着してしまう事故の事をモノリス事故と言う。)


「時間が関係ない西暦2025年の切り取られた倭(い)の寮の空間。だいじょうぶ? おねんねしている間中、ものすごく官能的な夢を見ていたみたいだけどそのままずっとおねんねしていたかった?」


―この因幡のド紫ウサギめ―


こいつの名前は月(げっ)診(しん)、天上界の人間が使う使い魔で最初に手に入れた私の使い魔だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る