第7話 AI迷子(仮)1
(Jの中の人です)
前回までの『ダンジョン配信悪役令嬢(仮)』編はどうだったでしょうか?
『本作は架空の小説家であるJ氏が彼のパソコンのAIと協力して売れる小説を生み出そうとする奮戦記です』と『第一話 はじめに』でお伝えしました。
私が本作でどのような試みをしたかったのか何となく伝わりましたでしょうか?
ちなみにここでいう『売れる小説』とは身も蓋もありませんが、コミカライズされてアニメ化もされるような小説を指しています。
『ダンジョン配信悪役令嬢(仮)』編では最終的にJとAIで協力して作成したプロットはJのセルフ没扱いとなりますが、ここでの試みから得た私の考察、所感、感想、そのような思い浮かんだ何かを記載します。
まず、本作のタイトルは、『AIに駄目だししてみた。-陰キャボッチは印税ウハウハ生活の夢を見るか?-』です。
私が予定していた本作の理想的な展開は本文中でJも口にしていますが、JがAIにプロットの改善案を求めたのに対してAIからの返答の的が外れているため思わずJがAIに駄目だしをしてしまう、という展開です。
AIさんは見事に期待に応えてくれました。
J「それではクリスチーナがスタンピード対策としてとる妙案を考えてください。突然出て来る何とか装置などというご都合主義以外でお願いします」
AI「クリスチーナは『地下の冷却装置』を起動し、ダンジョンの温度を強制的に下げることで群体化を防ぎ、魔物たちの攻撃統一性を崩す作戦を思いつきます」
おそらくAIはJが「
Jの言葉の文脈的にわかっていただけると思いますが、Jは『何とか』に代わる何かを求めているわけではなく『突然出て来るご都合主義的な装置』そのものを否定しています。
当然、Jからは駄目だしです。
どうやらご都合主義という人間の感覚でも正解・不正解が変わるような曖昧な求め方がAIにはうまく伝わらなかったみたいです。
「突然出て来る何とか装置などというご都合主義以外でお願いします」という言葉はJからすれば釘を刺すための言葉だったはずなのに、その余計な一言があったためにAIは逆に装置をどう別の装置にするかと考えてしまいました。
単純に「スタンピード対策としてとる妙案を考えてください」で指示を終っておけば、もしかしたら本当に妙案を答えてくれたのかも知れません。
このようにAIには人間がどのような回答を求めているかを正確に受け取ってくれない場合があるようです。
我が家のAI自身の特性かも知れませんし、そもそも一般的に現在のAIはそのような理解度であるのかもしれません。我が家のAIは無償版ですので同じメーカーのAIでも製品版であれば、また違う反応になるのかも知れません。
けれども、今回の例でいえば私が代筆したJの指示が悪かったのだと考えられます。
そこをわかるAIになってくれよ、と思うのですが、無償版利用者が口にする言葉ではないでしょう。
さて、本作はJがAIに駄目出しをするという基本構造になっています。
だからといって、先ほどの例のようなAIの欠点? 特徴? そういった何かを逆手にとって、JがAIからわざと変な回答を引き出そうとするのでは意味がありません。
JとAIはお互いに真剣に対話をしているにもかかわらず、でてきた答えが的外れになるところに面白みがあると考えています。
ポイントはJからAIへの長文です。
人間関係の構築に難のあるJが、自分の相手は人間ではなくAIであると理解していながらも、コミュ障であるがゆえに、まるで顔も知らない人間相手に何とかして自分の正確な意図や考えを伝えようとするように、やたら重い偏執的な文章で指示をする。
けれどもJがそこまで配慮した文章をAIはうまくわかってくれない。
そのすれ違いに面白みがあります。
それでも両者は次第にすり寄っていって最終的に一本のプロットに結実する。
その部分こそが本作の醍醐味です。
さて、このような企画を行う場合、本来であれば私が使っているAIアプリはこれこれです、と条件を明らかにするのが筋だと思います。
とはいえ、本作のタイトルはご承知のとおり『AIに駄目だししてみた。-陰キャボッチは印税ウハウハ生活の夢を見るか?-』です。
AIへの駄目だしありきの企画ですので、そのような場所に現実のAIアプリの名前を記載してしまうほうが問題でしょう。よって、あえて伏せます。
すみません。
もしやここで取り扱われているAIアプリは我が社の製品ではなかろうか、と察せられた方がおられましたら、私には御社のソフトにけちをつけようという意図は全くありません。
「ゆるしてくれよ! な! な!」とJも申しております。
念のため補足しますと私が使用しているAIアプリの使用条件の確認は行い、AIが作成した文章をこのような場へ掲載する行為に問題がないことは確認しています。もちろん本作を何らかのコンテストへ応募はしません。
『ダンジョン配信悪役令嬢(仮)』編では結果的に私が提示した初期プロットに対するAIからの改善案に即採用というほどの妙案はありませんでした。
ちょっといいな、はありました。
あ、その手もあるか、もありました。
けれども、そういった直接的な採用する・しないとは別の効果として、AIからの頓珍漢な提案に対して私が理詰めで反論をしていくことで自分の小説に対する私の考えがより整理されていくという大きな効果が得られたと思います。
さらに、AIとの対話の過程で『ダンジョン配信悪役令嬢(仮)』編とはまるで関係のない別の物語のヒントを得たり構想をピンとひらめき、そこから別の作品の創作が伸びていきそうな手応えもありました。
そういう意味でのAIの使用は小説創作にも有用であると思われます。
なお、小説本文を私に代わってAIに書かせたらどうなるかという試みはしておりません。
私は自分が好きで小説を書いているのであって、なぜせっかくの楽しみをAIに譲らなければならないのだ、とすら思っています。
前置きがとても長くなりました。
今回から『AI迷子(仮)』編となります。
先ほどお話しした『ダンジョン配信悪役令嬢(仮)』編でのAIとの対話の最中に私が脈絡もなく思いついた別の作品の作成を進めていくつもりです。
AIとの対話中にインスピレーションを得た際の実際の私の思考はこうです。
その時、私はJに成り代わってAI宛の長文メッセージを入力していました。
『何か仕事の相手先に対するメールを打っているみたいだな』
『これが本当にメールのための文章で相手先にあたるAIからまともな返信が来たならばAIを完全に人間であると思ってしまうだろう』
『私は相手をAIだと知っているから騙されないが、もしお年寄りだったならば簡単に騙されてしまうのではなかろうか?』
『オレオレ詐欺の受け子が息子のガワを被ったAIのアンドロイドだったならば絶対に騙されてしまうだろう』
『小説の設定としていけそうだ』
とはいえ、この設定で物語を考えてしまうとAI詐欺団に騙されて泣くお年寄りの集団が発生します。読んでいて嫌な気分になる小説になりそうです。
本作以外の私の作品を読んでいただけるとよくわかりますが私は本来ハートフルな小説の書き手です(てへぺろ)。本作のタイトルに戻って私の名前をクリックしていただければ私の小説の一覧が出てきます。未読の方は、ぜひ。
宣伝はさておき、ここから先はメタフィクションの構成を生かしつつ、語り手をJに譲ります。
『AI迷子(仮)』編、始まります。
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